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タグ:谷文晁 ( 3 ) タグの人気記事

『猫』 を躾ける人? (文晁)

人物は「(阿)羅漢」 (仏教修行での「到達者」を指す言葉)

猫は猫でも 猫科のトラ




伏虎羅漢図 谷文晁筆  06032

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この羅漢様は、伝説では、虎を神通力で手懐けていたそうです。
猫っぽい虎ですが、威嚇の表情にどことなく、リアルさ・鋭さが感じられます。

作者とされる江戸後期の絵師 (谷文晁:1763~1841)自身は、実際の虎を見た事がありませんが、中国に限らず、寛政期に欧州から日本に入って来た「ヨハン・ヨンストン(1603年-75年)の動物図譜」等多くの動物画の摸写を行っていました。


猫は、犬と違って躾けが難しい生き物ですので、「飼い犬が餌を盗めば飼い主の責任ですが、猫の場合にはその責任で飼い主が追求されない」と言う意味の判例があったと聞いた事があります。

羅漢様って すごい!











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by Ru_p | 2017-10-28 10:42 | アート・コレクション | Comments(0)

富士の晴れ姿 (文晁)

富岳三保淸曉図 谷文晁 筆  09013 88x54.5
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三保の松原の辺りから見た富士山の細密画です。寛政9年3月と書かれていますので、グレゴリオ暦に換算すると1797年4月で、春頃になります。落款は、富士を特に好んで描いた谷文晁(1763-1841)で、真筆だとは思いますが、だとしても今日では誰も客観的な立証は出来ません。

この三保の松原辺りから富士を臨む景観は、古くから多くの一流絵師たちが挑戦して、富士が最も美しく見える場所と言われて来たので、『世界遺産』として富士とセットで登録されたことにも納得出来ます。(※1)

今では全く見なくなりましたが、当時の江戸近郊の沿岸では、製塩が盛んで、この画の様に「塩田(揚浜式?)」が至る所に有ったようです。
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万が一江戸が攻められて、塩の供給が止められても、自給自足出が来るようにか、江戸の近郊でも積極的に製塩が行われていたようです(現代の日本でも、レアアース・石油・食品等に対する危機管理意識はこれを見習うべきかも知れませんね)。

また、画の左端に僅かに描かれている寺社らしき施設は、徳川家康も人質であった若い頃に修行をした、由緒のある清見寺の様(今はこの山門と本堂との間を東海道本線が横切っています)で、桜が咲いているようです。


この辺りはその昔、雪舟(1420~1506?年)も訪れて富士を描いたのだ様です。(原画は残ってませんが、室町時代に写された模本が「永青文庫」には現存するそうです)
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下の松林の中には、天女伝説で有名な「羽衣の松」(現在の樹齢だと650年?)があったはずで、近くにあるはずの御穂神社(「羽衣の切れ端」が安置されていると言われる)らしき施設は描かれていますので、特定は出来ませんが、その辺りのどれかなのでしょう。
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この絵では現実の絵師の視点よりも、高い位置から俯瞰した様に描かれています。更に、遠くの物でも必ずしも遠近法に従わない大きさで描かれていること、富士山の勾配(※2)が実物よりもかなり急になっていることなど、写真的な正確さよりも画としての見応えを優先した表現になっていることに気付きます。
今と違って、誰しもが気楽に観光を楽しめなかった時代でしたので、そんなデフォルメや誇張こそが江戸の画の面白さ・楽しさとして要求された遊び心だったのかも知れません。そして、富士と海とを一つの画面に納める理想的な構図(※3)が、古く万葉集の 「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける 」 (山部赤人)にも登場する題として「日本人の心象風景」と言われるまでになったのかも知れません。








※1 ユネスコの世界遺産委員会で、2013年6月22日に富士山(三保の松原を含めて)を世界文化遺産に登録されることが決定されました。 (めでたし!されど昔の景観はすでに・・・・ )

※2 富士山頂付近の最大傾斜部を延長して出来る頂角は、実物の写真では約120度、この画の場合で約80度(室町時代の雪舟の模写の場合でも約100度)ですので、画ではかなり誇張されています。 (それが理想形に近いのか?見応えは増します)

※3 当時「田子浦」は広く清水湊より東の一帯を指していました。 (銭湯の壁画は一時期この画題ばかりだったそうですが、公衆浴場も最近はめっきり減りました )













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by Ru_p | 2013-06-24 19:32 | アート・コレクション | Comments(0)

梅と鶴と・・  (文晁)

林逋(林和靖)の図  「 谷 文晁 筆」 11022
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林逋(りんぽ 967-1028)は、中国、北宋の文人で、病弱のために妻をめとらず、西湖の孤山に盧を作り、自ら植えた梅を妻と呼び、大切に育てた鶴を子と呼び、この両者を特に愛して隠遁生活を送った孤高の詩人だったそうです。その詩は主に、西湖辺りの自然の美しさを詠んだものらしいのですが、ご本人は書くと直ぐに捨ててしまったらしく、多くは残されていないのだそうです。画も書も得意で、学問にも世情にも精通していたので、時の皇帝からも尊敬され「和靖」の諡を賜っていたのですが、生涯出仕はしなかったそうです。

林逋の姿は、中国では画題として古くから多く描かれていたため、江戸時代の日本が中国ブームであったこともあり、それらが日本へ渡り、絵師達が競って模写したようです。上の画も梅や鶴を愛する林逋の優しそうな人柄が良く出ています。(後ろで鶴の餌を抱えている童子は、林逋の世話をした弟子でしょうか?)
中国では、文人・高士は「梅、蘭、竹、菊」等に象徴され、それ等を好むとされていたそうです。

梅と鶴いうのは個性的なので印象に残ります。(私なら猫と蘭ですが・・・世の全員が文人になったら困るのでしょうね)



江戸時代の多くの絵師群団で、この様な画の基となる唐画(中国から伝わった画)や、その模写を大切に貯えておき、その中から一部を更に写して「粉本(お手本)」として弟子等に与えたり譲ったりしていたのでしょう。ですから、世の中に全く同じ構図の作品が多数存在していたとしても不思議な事ではありません。
善意の作者によって描かれた作品であればその見分け方は、落款や筆致などで識別可能なのですが、人の識別能力にも限界があるので、意図的に作風も似せられた贋作等の場合には、誤った認定が美術史すら歪ませて来た可能性も否定は出来ないと思います。
谷文晁(たに ぶんちょう;1763年~1841年)は多彩な画法を使い分けていたので、画に必ずしも一貫した個性が見付けにくいとよく言われています。文晁も(他の主要な絵師群団の場合も)工房の門人等に自らの落款の使用を認めることがあったそうですので、『文晁』は絵師の名であると同時に、工房のブランド名の意味もあった様です。

古い画では多くの場合、真筆であっても客観的な(主観的でない)証明など出来ません(偽筆等の場合には判断可能な場合も多々有ります)。観る者を納得させられる魅力を供えていたり、時代の雰囲気を十分に伝え残す作品には相応の評価が与えられて当然の様ですが、殆どの場合それ等の根拠は鑑定者等の経験に基づく確信という主観なので、他の者が冷静に検証を試みたくても、必ずしも叶わないのが残念な事実です。

とは言っても、感動を与えてくれる古画が世の中に多数存在する事は確かな事です。時空を越えて活き続ける作者の感性と共鳴する様に、遙かな浪漫の世界に浸れる時間を楽しめるのですから。












【参考】
「文晁筆」とされ、上の画とほぼ同一構図の作品(福島県立博物館所蔵)e0259194_645410.jpg

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by Ru_p | 2012-03-21 12:25 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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