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『虎図』のモデル? (芦雪)

長沢芦雪筆 見返り猫 絹本  37.5×90.5 18028
e0259194_19285674.jpg
(毛繕いする猫の、顔の拡大)



e0259194_08552672.jpgカメラ目線ならぬ絵師目線。
いかにも鼠を良く捕りそうで、気儘なオスの雰囲気。

丹念に毛繕いをしていますので、雲や湿気を感じて、天候の崩れを予感していたのでしょう。

ご近所で顔馴染み野良君だったのかも知れませんね。

街中で暮らしていても、野生の本能を強かに失わない、こんな猫達が、当時は虎図のモデルに見立てられていたのかも知れません。

この画には、型通りではなく、見たまま感じたままを描く、という写生の意思が感じられます。
ヒゲの曲がり具合や、瞳の形、毛皮の陰影まで、猫の生態が実に良く捕らえられていますし、対象と真摯に向き合い観察して来たそれまでの体験も、大きく参考となっていたのでしょう。




芦雪は似た毛並みの猫の画を何枚か残しているようなので、それらは近い時期(野良猫ならば寿命はおそらく数年なので)の作品なのかも知れません。
(「蘆雪」の落款の書体と印章を見ると、応挙の代理として南紀に赴いた天明7年;1787;34歳頃までの作品に似た物が多い様に感じます)

無量寺の襖絵の猫たちにも、近い雰囲気が感じられますが、この猫の寛いだ表情には、芦雪の心理状態も反映されていたのでしょうか。









猫は、芦雪にとっても見飽きない・・・













by Ru_p | 2019-02-10 13:25 | アート・コレクション | Comments(0)

『猫』 を躾ける人? (文晁)

人物は「(阿)羅漢」 (仏教修行での「到達者」を指す言葉)

猫は猫でも 猫科のトラ




伏虎羅漢図 谷文晁筆  06032

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この羅漢様は、伝説では、虎を神通力で手懐けていたそうです。
猫っぽい虎ですが、威嚇の表情にどことなく、リアルさ・鋭さが感じられます。

作者とされる江戸後期の絵師 (谷文晁:1763~1841)自身は、実際の虎を見た事がありませんが、中国に限らず、寛政期に欧州から日本に入って来た「ヨハン・ヨンストン(1603年-75年)の動物図譜」等多くの動物画の摸写を行っていました。


猫は、犬と違って躾けが難しい生き物ですので、「飼い犬が餌を盗めば飼い主の責任ですが、猫の場合にはその責任で飼い主が追求されない」と言う意味の判例があったと聞いた事があります。

羅漢様って すごい!











by Ru_p | 2017-10-28 10:42 | アート・コレクション | Comments(0)

恋する・・・? (芦雪)

①左幅:虎図 長沢芦雪筆
 紙本淡彩色 17018 44.4×120.1
②右幅:龍図 長沢芦雪筆  
紙本淡彩色17019 44.6×120.3

e0259194_06510289.jpg

『恋するふたり』 (双幅図)


【まさか?】

実際には「龍虎図」なのですが、もしも そんな「題」が付いていたとしたら、
相思相愛の間柄、と言う見立てに合点してしまうのかも知れませんよね。

上の作品での落款署名の書体や筆致を見ますと、長沢芦雪の晩年にも近い寛政年間の中期頃の作品と思われます。
その頃の芦雪ですと、幅広い層での交友が有ったでしょうから、様々な場所で「龍虎図」を見る機会があり、知識も豊富に蓄えていたと考えられます。

この画は、当たり前の先入観で見た場合、力を誇示して威嚇し合う宿敵同士を、二頭の霊獣が象徴しているかの様に見える事でしょう。
しかし、もしもそんな全ての先入観を捨て去って見る事が出来るとすれば、仲むつまじい関係同士に見立てられない事もないのでは?


(芦雪の心に棲んでいた、猫の様に甘える虎と、優しく気の弱そうな龍とが、本紙紙面から滲み出て来てしまい・・?)


【そこで、疑問が 】

今までに芦雪の龍や虎を幾つか見て来て、不思議だと感じていた事があります。
表情があまりにも “恐ろしくない” 事です。

まるでペットの様に「ゆるめ」で可愛らしく描かれている作品が妙に多く目に付きます。
はみ出す様な構図による存在感や迫力は劣らないので、むしろ好まれる「ゆるさ」なのか、とも感じられます。
(他の絵師の作品でも、恐ろしくない龍虎図は、しばしば見掛けられます)

芦雪の表現力を以てすれば、更に恐ろしい表情で、もう一歩緊迫の度を高めて描く事も可能だったはずです。
龍や虎の実物など、だれも見た事は無かったはずですが、意図的にそうしたのであれば、その理由は・・


こんな事を感じたのは、私だけなのでしょうか?




【何か、見落としては?】

左幅①虎図では、顔と体の概略の形を描いた後で、ごく薄い赤を加えた墨で虎の柄の下塗りを行い、乾ききる前に中濃の墨を描き加えた様です。全体に赤茶色っぽい墨色の模様で、それが塗り残された白っぽい部分を引き立てている様にも見えます。
右幅②龍図では、龍の手や顔の概略の形を描いた後、一休みして乾燥を待ち、その後で藍を少し加えた墨で、水筆で雲をぼかしながら描いた様です。龍の腕には、虎図で使った薄い赤の墨も使って柄を描き加えた様です。(全体として青っぽい墨色と感じます)
それぞれの画を個別に眺めると、殆ど墨以外の彩色がされていないと感じる程度の薄い彩色です。

紙は、普通の唐紙(中国の黄色味の多目な竹の紙)が使われている様で、墨の滲み具合では良い味となっています。
(繊維が短かく強度が小さいので、傷みが多く、虫食い穴もあります。所々に過去に表具師が行ったと見られる修復跡があり、近くで見ると多少目立ちますが、少し離れて見れば気にならない程度です)

落款署名は意図的に、それぞれの画の外側の邪魔にならない場所を選び、添景も兼ねて画の雰囲気に合わせた書体(筆致)で、書かれています。
双幅ともに、ほぼ同じサイズで、同じ日に左右に並べた状態で、極短時間(1時間程度?)に描き終えられたものと思われます。

この龍図・虎図は「双幅図」と言って、二幅対の状態で鑑賞される事を前提に描かれた一組の画に違いありません。


【並べて壁に掛けると】

二つの「窓」の様に見えるそれぞれの画面で、はみ出す様に配された虎と龍とが、互いに縺れて渦を巻く様に干渉し合い、まるで「窓」の外には、嵐の様な別世界が存在しているのか、と錯覚しそうな気分にもなります。

この双幅龍虎図の作画意図が、小さな画面の効果的な使い方で、たとえ狭い部屋にいても、広い空間を感じさせる暗示効果を狙う構成、だったのでは無いのかと気付かされます。

陰陽の太極図(「二つ巴」に似た形)の様に見えそうな配置の時には特に、強い力の象徴である龍や虎の姿を借りて、見る者の直ぐ近くに広大な異空間が存在するかの様に感じさせられます。
はみ出た部分が大きく拡がって行く様に見せる演出効果を活かして、「禅画」(見る者が、自身の存在についても見直す為の効果?)としての意味をも持たせたかったのかも知れません。

狙いがそれならば、リアルで恐ろしい顔や姿に描くだけでは現せないとしても当然(むしろ邪魔)なのでしょうね。



【誰か、知っていた?】

「龍虎図」の本来の意味が、その辺にもあったのかも知れないと気付いた時点で、すぐにネット上での検索を試みましたが、そんな具体的で平易に説明された(合理的な)解説が見当たりません。見る者に何を訴え様とする画なのか、と言う最も重要な部分の解説が見付け難くて、淋しい事です。

元々が中国から伝えられた「龍虎図」なので、更に深い「禅」や「道教」の宇宙観との関わりが伴っていても不思議ではないのですが、かつてそんな解釈が有ったのだとしたら、その伝承はどんな理由で滞り、消えてしまったのでしょうね。




また、課題が一つ増えてしまいそう・・・













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by Ru_p | 2017-10-14 00:08 | アート・コレクション | Comments(0)

芦雪も見た ???

わがやの にゃんこ がよくするポーズ
e0259194_1721729.jpg





どこかで見覚えが・・・・・・



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※芦雪の有名な無量寺本堂襖絵の虎は、前足の爪の描写に多少の違和感が感じられますので、片足ではなく「両足を揃えている」と言う説(解釈)があるそうです。
ところが、猫をモデルに観察すると、両足を揃えるのは、獲物に跳びかかる直前で、体(腰)をもっと低く構える様です。
ですからあの虎は、左前足だけを出した時の、獲物に少しずつ近づく猫のポーズ(上のにゃんこと同じ)なのだと思われるのです。

ちなみに、その虎図襖の裏面(二ノ間)には、魚(川の鮎?)を狙って忍び寄る猫の画が描かれています。そこの魚の目から見れば「猫が虎の様に見えた」と言う解釈があるのですが、まさに、上の写真の様なポーズを見たからではないかと・・・?

e0259194_2328170.jpg





















by Ru_p | 2013-04-04 17:17 | にゃんこ | Comments(0)

猫顔のトラ (岸駒・芦雪他)

①岸駒の・・・・      (06057)       45*100
e0259194_8103968.jpg


e0259194_552525.jpg


②芦雪の・・・・       (12009)        52.7x110
e0259194_2145562.jpg


e0259194_5145499.jpg


それぞれが斜め上方を見据えているので、双幅の「龍虎図」として描かれた物の片割れだと思われます。
(落款と画から①が佐伯岸駒※、②長沢芦雪の筆と勝手に判断しましすが未鑑定;すでに所定鑑定機関もありませんし )

岸駒も芦雪も活きた虎を見る機会が無かったので、中国や朝鮮半島などから渡来した画を参考にしたり、死んだ虎の皮や近くの猫を写生して参考にしたと言われています。
その目は明らかにな猫だとも言い切れませんが、拡大すると虎よりも猫に近い特徴(縦割れの瞳)が見られます。
また、表情も愛嬌たっぷりでとてもカワイイので、猫をモデルに虎に見立てた?可能性がうかがええます。

江戸時代の庶民にとっては虎も、龍と同様に現実には見ることの出来ない空想上の生き物に近い存在だったので、この様に自由でアニメチックな画が描かれたのではないかと思われます。
そしてこの傾向は、この時代と思われる他の多くの虎図に共通してある様です。
 
         (オチャメな虎ネコたち↓)
     ③08002 ????
 
e0259194_616032.jpg

          ④07013 原在中
e0259194_815136.jpg

          ⑤06069 麟振義境
e0259194_616478.jpg

          ⑥06063 熊代熊斐
e0259194_6172894.jpg

          ⑦06055 ????
e0259194_86632.jpg

          ⑧07006 岸岱
e0259194_872735.jpg

          ⑨06061 ????
e0259194_884636.jpg

          ⑩07041 北渚周溪
e0259194_029575.jpg

          ⑪11004 常山源瑛
e0259194_2181254.jpg

          ⑫08006 庭山文光
e0259194_5314970.jpg









※佐伯岸駒(西暦1756年5月1日? - 1839年1月19日)は特に虎の画には定評があり、もっと精悍で恐ろしい表情の画も多く残しています。(芦雪の虎の方がどれも猫顔的で好きなのですが、「虎」らしい恐ろしいさという意味では、岸駒なのでしょうか)








by Ru_p | 2012-11-11 08:38 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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