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表装は楽し・・

以前から、やってみたいと思っていたので、少し練習しただけなのに、某表装展に出品してしまいました。

(1)画セン紙に墨で描いた猫(寧々ちゃん)を、自由な解釈で楽しく軸装しました。

寧々眈々   (紙本墨画)
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やや太目の軸棒の先には肉球のマークを付け、金物と結び目は黒い羊毛の耳形で隠し、モヘア製の鼠やシッポもアクセサリーとして添えてみました。
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普通掛け軸は、床の間で見上げて観賞する茶道文化の影響で、上の裂が明らかに長いのですが、今回は、日常生活の椅子で見る時の目の高さを想定したので、本紙の上下部分の裂の長さを、ほぼ等しくしました。
ヒモも、平ヒモでなく、裂と共色の丸ヒモとし、あえて目立たせました。
掛け軸の紐(緒;お)の背面での垂らし方は、画(本紙)の造形の陰陽を見て、左右を決めていたと言う古来からの約束事もあるのだそうですが、今回は、尾(お)を出したいと思われる方を、その日の気まぐれでも決められる仕様としました。
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(2)マクリで所有していた、作家さんの作品も、涼しそうな色調の描き表具(波紋の柄を描いた画セン紙と太明朝風柱部分の外側を、青っぽいストールを松烟墨で汚して作った裂)で表装しました。

夏楽図 ( のむら清六筆 「河伯泳法」 )
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夏なので、全体に寒色系の裂を使い、軸先には洒落でカッパ巻き(食品サンプル)を付け、やや太目の軸棒部分は、黒い海苔巻き風に見える様に、麻の裂を巻きました。
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周囲が傷んでいたマクリの本紙を、バランスを考えて方形にトリミング(24×72)すると、意外に小さく、余白も少なめだったので、もっと広い空間で泳がせてあげたら楽しそうだと考えて、こんな形になりました。
(こちらの表装は、美術雑誌「月間美術」から選定され、表彰して頂きました)






普通、プロの表具屋さんの場合には、お客さんから、好みやセンスを信頼されて品物(本紙)を預かるのですから、奇抜さを主張する大胆な表装は難しいのです。
ところが、シロウトでも、自分の所有する本紙ならば、何をするのも自由なのです。
更に、正麩糊を使うので、例え失敗したとしても、濡らせば直ぐに剥がせて、幾度でもやり直し可能で、安心なのです。

掛け軸は、①巻いて保管出来ること(裏打ちの糊が強くて固過ぎると、巻けずに折れますし、絵の具が厚過ぎると剥落し易いので不可)、②本紙を傷め難い素材を使うこと(酸性の糊や紙を使った場合、経年劣化で本紙が酸性化して脆くなり、粉々になることがあるので不可)、③湿らせても絵の具が滲まないこと(基本的に「日本画」は膠と岩絵の具の画なので、膠が弱いと滲んで将来の修復に絶えられないので不可)等の基本的なルールさえ守れば、比較的自由なアレンジが可能な日本の優れた伝統文化です。それと同時に、本紙の魅力を最大限に引き立てる使命も担っています。
コンパクトに巻いて仕舞える便利さは、海外からも注目を集めつつあるので、今一度その素晴らしさを見直すべき時期に来ているのではないかと思われます。

ただ、「日本画」だけを見ると、その技法(岩絵の具などを膠で解いて紙や絹などの基底材に塗る;膠画)は元々は中国から伝来したものでしたが、扱う画題や画風が長い間に日本風な様式に変わって来たためそう呼ばれているようで、定義の説得力には幾分弱さを感じます。

例えば「ラーメン」は中華風なので、日本で生まれたのに、日本料理とは呼ばれない事と、逆の意味で共通の違和感がありそう・・・。






by Ru_p | 2014-08-20 22:54 | アート・コレクション | Comments(0)

水墨画の筆選びに私見

〇〇さま

「水墨画」の筆とは、厄介なものに関わりましたね。

と言うのも、日本には、水墨画関連の団体が多数あり、それぞれが 水墨画の定義を別個に主張しあっているからです。

ただ、古来から在る「水墨画」(そんな呼ばれ方が普及したのは、たぶん明治以降の事と思われます)の解釈は緩いもので、水と墨(膠と炭素のコロイド状態)で描いた(絵の具彩色を含む)画の総称だった様です。
書にも使われる筆の場合、穂先が特に重要で、当たり外れも多いです。
日本製を含めて、高額な筆ならば、一応は安心なのですが、(中国産等の中に)安くても良い物がしばしばあります。(※1)
個人的には中国の「武林邵芝巌」が定評あり、楽しめそうなので、お勧めです(出来れば昔の製品が好き)。
但し、筆は日頃も手入れが必要な消耗品ですし、目的と状態によって使い分けるべき道具です。特に、画に使う場合には、どの様な描画効果を求めるのかによっての使い分けが必要です。

代表的な 「水墨画」と呼ばれている中世までの画の描法に憧れたのでしたら、書の筆が多く兼用されてた様ですが、近世の職業絵師の作品では、専用の刷毛や連筆を使ったと思われる描画が多数見られます。
(画家;職業絵師の多くは、道具を含めてその技法を秘密にして来たので、 今日の美術学校でも、その基本すら十分には伝えられて来ていない様です)
例えば、均一な背景を塗りたい場合、一部だけムラに濃く基底材(一般的には紙でしょう)にしみこむ事を避ける為、先に水又は、ドウサ(※2)や膠を塗る場合がある(単に極薄墨を重ねる方法もあります)ので、刷毛状の筆が便利でしょう。この場合には乾燥待ち時間の見極めが重要になります。それには、予めの、それと近い条件での試墨による効果の確認が 幾度も必要となるでしょう。(均一な加湿状態とする為に噴霧器や保湿養生用フィルムを併用する場合もあります)

重要なのは「文房四宝」と呼ばれる「筆・墨・硯・紙」での描画効果の予めの確認作業(訓練・練習)です。(その前に当然、描きたい物やら目標としたい作品とかの自覚も重要;水墨画を含む膠画は、西洋画と異なり塗り重ねによる修正が難しい手法なので、予め乾燥待ちを含む描画の作業手順を組み立てて自覚しておく必要があります;手順を違えると全く別の画となる事も・・・)

墨は、既製の墨汁や、数日間使い古して腐敗し始めた墨は、後日表具仕立ての時「泣く」 と言って、滲んでしまう等のトラブルが多いので、使わないで下さい。(腐敗によるニカワ劣化の予防に、少量のエタノール等を使う場合もありますが、基本的に長期保存はできません:沈殿や分離で性質が変わる為)

松煙墨の「黄山松煙」や、油煙墨の「鉄斎翁書画墨」はお勧めですが、学童用の安い物でも、描画効果の面白い物があるので、試墨で確認して、その結果を条件毎に整理保存すれば、同じ効果の表現で有効に使えるので、役立つと思います。(※3)

同じ意味で、画用紙も重要となります。(※4)
一般的に「日本画」と呼ばれている「膠絵」には、書にも使う画宣紙(日本では、画仙紙と呼ぶが、元は中国の安徽省涇県〈宣州〉で産する紙なので宣紙と呼ぶ)を使いますが、いわゆる「水墨画」の雰囲気を出したいのでしたら、「白唐紙」「老灰紙(日本の製紙業界では、二番唐紙とか呼んだりしますが上質な竹の紙)」が、滲みの効果では面白いと思います。それぞれ染み込み方が違うので、厚みの違いとも相まって仕上がりの景色が変わります。

硯に関しては、昔から定評のある「端渓」の物がお勧めです。予算に余裕があれば、端渓老抗水厳渓大西洞の産と言われる物には、滑らかで使い心地良い物があります。(ただ、比較する物が無いと見極めも難しいです)。
また、端渓硯は柔らかくて傷つきやすいので、固い松煙墨には、歙州硯が安心(固くキズ付き難い)の様です。
画で使う墨の濃さは、書と違って、薄目の場合が多いので、小さめの硯で磨っても、別の容器で希釈して使う方法をお勧めします。白磁等の器で見た目の濃さを確認し、それを試墨で使い、その乾燥段階毎の墨色の変化を予め知っておくと描画で乾燥途中で加筆する場合に役に立ちます。

要するに、何をどの様に描きたいのかによりますが、筆・墨・紙・硯の使い分けとバランスが大切だと思います。


:=^.^=:









【追加のコメントです】

※1:
中国製の安価な筆でも、だいたい3本に1本は、当たりが有ると思います。筆は、材料となる動物の違いで、弾力・復元力や保水力や穂先の繊細さに違い(個性)がありますが、製法(毛の種類や組合せ等)は、外見だけで判断し難いので、使い慣れて自身が判断するべきでしょう。その為に、目的の描線効果毎の正しい持ち方(例えば筆を立てたり寝かせたり捻ったりの方法等)で使う必要があります。(但し、『書道』の常識は、画を描く場合には一度忘れた方が、より自由になれそうです)

※2:
ドウサ(墨の滲みを押さえる為に、予め紙に均一に塗っておく液体で、ミョウバンや膠が原料)は、作品の経年劣化(基底材全体の色が暗く変わる事や、本紙の脆弱化)を起こす様ですので、止めましょう。滲みを押さえるには、濃い墨を使うか膠を墨に加える(硯で磨るなどの方法が有りますが、粘りの為に、筆が走りにくくなるので注意)等で解決すべきでしょう。

※3:
現在の墨の原料の多くは、重油などを燃やして出た煤ですが、中国の文革頃(日本で「戦前」頃)までの、墨製造業界では、原材料である松は、林業労働者が多かった事も有り、油(植物性油脂)に対して非常に安価に入手する事が可能でした(現在はそれが逆転しています)。ですから、比較的良い墨色の松煙墨(鉄分の少ない山の松の場合には、青味があり、幾分薄く感じる)が、学童用としても売られていましたので、現在でもネットオークション等で入手出来る場合が有ります。これに対して、油煙墨(黒さは濃く、主に文字を書くのに好まれていましたが、幾分赤や茶を感じる傾向はある)は原材料の油脂が高価だったので、墨の値段も当然高価でした。そこで、「油煙墨」と称しても、約7割までは、松煙墨が混ぜられて作ると言う方法が業界の知恵として常識だった様です。「鉄斎翁書画墨」は、富岡鉄斎(明治の文人画家)が1912年頃に、中国に特注して、作ったのが始まりで、油煙101と言う粒子の細かい煤(軽くて遠くまで飛んで付着した物ですが、収量が僅か)を使っていましたので、滲みが美しいと言われています。文革後、国営化されたりの経緯はありましたが、評判が良かったので、現在では偽物?も多く出回っていますが、違いを知って使い分けられれば問題有りません。
また、墨色には使う水(phや金属イオンの濃度が異なる?)の影響があるとも言われていますが、私にはまだよく判りません。

※4:
現在までの画用紙の主流(「日本画」用で、まだ、美術学校でも勧めている所があるらしい)となっている、雲肌麻紙は、シミの発生など耐久性に問題があったので、お勧めは出来ません。
「和紙は、千年・・」と言う言葉は、幻想です。そもそも、和紙という言葉は、明治以降に、洋紙に対して使われる様になった新造語ですし、原材料の楮を安価な輸入品に頼り、苛性ソーダで効率的に処理する生産効率重視の今日主流の製法では、江戸以前の、純国産楮を桐などの木灰で丁寧に処理する伝統的(?)製法と全く違い(パリパリ・ゴワゴワ感)、当然耐久性の比較立証はありません(放射線に依る疑似経年劣化試験は過去に例がある様ですが)。
もしも、本気で画業に打ち込む覚悟でしたら、耐久性にも定評のある紙を選ぶべきです。
























by Ru_p | 2012-02-06 08:34 | その他 | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


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