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富士山を見なかった?(芦雪)

富岳図  長沢芦雪筆 紙本 59×120 17020

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落款の書体や、印の欠け方から、長沢芦雪(1754~1799)の晩年に近い寛政年間後期の作品の様です。


画題として縁起物を多く描いた芦雪は、富士山の画を幾つか残していますが、その多くで頭頂の角度を誇張したり、延びた裾までを描こうとしてませんし、スケール感が伴わず、何処かで見た事のある様な構図が多い気がします。
他の山を見て参考にしたり、想像力を働かせてそれらしい画には見えるのですが、何かが足りません。

どうやら、先人の残した画を見る事はあっても、本物の富士の姿を間近で観察する機会は無かったのではないか(?)と、推測出来そうです。

芦雪が住んでいた京都から、東海道をある程度東へ下って(現代では「上って」と表現)、富士山が見える場所まで行ったとしても、往復ではおそらく半月以上の日数が掛かってしまったでしょうから、修業時代の芦雪であれば、その時間を作る事は難しかったと考えられます。
また、それだけの時間を割いて旅をしたのであれば、当然その途中沿道の風景スケッチも多く残していた事と考えられますが、それらしい画が見られない事も不自然です。

(例えば、頑張って浜松辺りまで行っていたとすると、条件さえ良ければ富士山は小さく見えますが、この画の様に裾の部分は他の山に遮られる構図になってしまう様です)
一度でも間近で見ていれば、その後の画が大きく変わっていたでしょうに、、、

見せてやりたかった!











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by Ru_p | 2017-10-28 13:27 | アート・コレクション | Comments(0)

冬晴れ、富士山

2時間くらい前に、デジカメのズーム最大手持ちで富士山を撮ってみました。
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空気が澄んでいるらしく、久々にきれいに撮れました。

その分、放射冷却で夜は寒くなるのでしょうね。

初冠雪は、10月だったのですが、雪は見えない様です。
(逆光ぎみだったからでしょうか)


手前に見えるのが丹沢の山々らしく、裾のまでは見えません。

約100キロ離れていますが、順光でよく晴れた日ならば、肉眼でも、山肌の模様がくっきりと見えますが










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by Ru_p | 2014-12-18 17:26 | その他 | Comments(2)

富士の晴れ姿 (文晁)

富岳三保淸曉図 谷文晁 筆  09013 88x54.5
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三保の松原の辺りから見た富士山の細密画です。寛政9年3月と書かれていますので、グレゴリオ暦に換算すると1797年4月で、春頃になります。落款は、富士を特に好んで描いた谷文晁(1763-1841)で、真筆だとは思いますが、だとしても今日では誰も客観的な立証は出来ません。

この三保の松原辺りから富士を臨む景観は、古くから多くの一流絵師たちが挑戦して、富士が最も美しく見える場所と言われて来たので、『世界遺産』として富士とセットで登録されたことにも納得出来ます。(※1)

今では全く見なくなりましたが、当時の江戸近郊の沿岸では、製塩が盛んで、この画の様に「塩田(揚浜式?)」が至る所に有ったようです。
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万が一江戸が攻められて、塩の供給が止められても、自給自足出が来るようにか、江戸の近郊でも積極的に製塩が行われていたようです(現代の日本でも、レアアース・石油・食品等に対する危機管理意識はこれを見習うべきかも知れませんね)。

また、画の左端に僅かに描かれている寺社らしき施設は、徳川家康も人質であった若い頃に修行をした、由緒のある清見寺の様(今はこの山門と本堂との間を東海道本線が横切っています)で、桜が咲いているようです。


この辺りはその昔、雪舟(1420~1506?年)も訪れて富士を描いたのだ様です。(原画は残ってませんが、室町時代に写された模本が「永青文庫」には現存するそうです)
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下の松林の中には、天女伝説で有名な「羽衣の松」(現在の樹齢だと650年?)があったはずで、近くにあるはずの御穂神社(「羽衣の切れ端」が安置されていると言われる)らしき施設は描かれていますので、特定は出来ませんが、その辺りのどれかなのでしょう。
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この絵では現実の絵師の視点よりも、高い位置から俯瞰した様に描かれています。更に、遠くの物でも必ずしも遠近法に従わない大きさで描かれていること、富士山の勾配(※2)が実物よりもかなり急になっていることなど、写真的な正確さよりも画としての見応えを優先した表現になっていることに気付きます。
今と違って、誰しもが気楽に観光を楽しめなかった時代でしたので、そんなデフォルメや誇張こそが江戸の画の面白さ・楽しさとして要求された遊び心だったのかも知れません。そして、富士と海とを一つの画面に納める理想的な構図(※3)が、古く万葉集の 「田子の浦ゆ うち出でてみれば 真白にそ 富士の高嶺に 雪は降りける 」 (山部赤人)にも登場する題として「日本人の心象風景」と言われるまでになったのかも知れません。








※1 ユネスコの世界遺産委員会で、2013年6月22日に富士山(三保の松原を含めて)を世界文化遺産に登録されることが決定されました。 (めでたし!されど昔の景観はすでに・・・・ )

※2 富士山頂付近の最大傾斜部を延長して出来る頂角は、実物の写真では約120度、この画の場合で約80度(室町時代の雪舟の模写の場合でも約100度)ですので、画ではかなり誇張されています。 (それが理想形に近いのか?見応えは増します)

※3 当時「田子浦」は広く清水湊より東の一帯を指していました。 (銭湯の壁画は一時期この画題ばかりだったそうですが、公衆浴場も最近はめっきり減りました )













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by Ru_p | 2013-06-24 19:32 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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