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アウトドアを楽しむ (芦雪)

長沢芦雪筆 山水人物図(部分) 紙本墨画彩色 50.5*125.5 22015_R67
アウトドアを楽しむ (芦雪)_e0259194_08430349.jpg







昔の中国の高士(権力に阿る生き方を嫌い、鄙で高潔を貫く隠者又は賢者)などに憧れを感じていたからか、野山で日射しを避けながら、従者を伴って、茶などを楽しんでる男の姿が(控え目に)描かれています。


長沢芦雪(ながさわろせつ/1784~1799)には、中国に行く事は出来なかったでしょうから、近郊(京都)の見晴らしの良いお気に入りの場所で、のんびりとお茶(又はお酒など)を楽しむご自身の姿と重ねた?とも想像出来ます。

荷物が、コンロや茶道具や日除けのタープなど、けっこう重くなりそうなので、
もしも従者がいなければ、ちょっと辛いかも知れませんが、楽しそうな遊び。


小川の水でコーヒーを淹れるとか、、、
私も、真似してみたい。

















# by Ru_p | 2023-04-19 11:16 | アート・コレクション | Comments(0)

迷路から戻れて、(都路 華香)

都路華香筆 騎牛帰家 紙本墨画彩色 (30.2*120の部分) 23005
迷路から戻れて、(都路 華香)_e0259194_11480121.jpg

この画の題の「騎牛帰家」は、禅画での『十牛図』の六番目に当たるのですが、背後の深い竹林(?)や、その遙か後の仏塔が、長い混迷の痕を暗示していて、そこから解放されて家に戻れる状況を上手く演出している様です。

迷いながら探し求めていた『牛(真の自己の象徴)』が見付かり、更に馴らして乗る事も出来た安堵感まで伝わって来ます。

都路 華香(つじ かこう:1870~1931/本名:辻 良景)と言う名前も経歴も、実は、偶然この画に出会って、落款から調べるまで、すっかり忘れていました。

画の師匠であった幸野 楳嶺(こうの ばいれい:1844~1895)に与えられた、その名(雅号)の読み難さに原因が有るのか、知る人ぞ知る巨匠ではあっても、今の世間での知名度は、必ずしも高くは無い様です。
(そんな事を知らずとも、この画を眺めていると何故か癒やされます)


京都に住んでいた華香さんは、1900年頃から禅宗の教えに傾倒して、禅寺にも通っていたので、その後は『禅』に関連する作品が増えた様です。

京都国立近代美術館の2006年「都路華香展」の図録で、1913年頃からの画に、この画と似た画題が複数見られ、画の構成要素でも、牛・人・仏塔・鳥などに、似通った解釈が感じられました。




【参考】京都国立近代美術館「都路華香展(2006年)」図集を見て、

   ①「十牛図(巻)」(霊洞院所蔵)より、牛と人の部分
迷路から戻れて、(都路 華香)_e0259194_10455046.jpg
   ②「騎牛帰家」より、牛と人の部分
迷路から戻れて、(都路 華香)_e0259194_10455609.jpg
   ③「高士逍遙図」より、仏塔風な屋根と群れ飛ぶ鳥の部分
迷路から戻れて、(都路 華香)_e0259194_10460126.jpg
  






写実に拘らないからか、生き物の表情からは、緩く優しい時の流れも感じられ、楽しい画です。(他にも、多彩な画風で様々な画を残してはいた様ですが)


ここで騎牛している人物って、おそらくは、ご自身の・・・



(自分が、何を描くべきかに悩み、それがやっと見え始めて)









# by Ru_p | 2023-04-04 12:31 | アート・コレクション | Comments(0)

火星人襲来? (芦雪)

長澤芦雪筆 群蛸図 紙本墨画淡彩色 35*98  23001_R65
火星人襲来? (芦雪)_e0259194_12563189.jpg
上の画の落款部分には「禊浜於二見浦写 平安蘆雪」と書いてある様ですので、どうやら、禊浜(みそぎはま)の活きの良い蛸の画なのでしょう。
(何となくアニメチックで、高知能生命体の雰囲気も!?)



次の画も落款が「於禊浜二見 蘆雪写」なので、同じ浜で(同時期に?)写した蛸の画なのだと考えられます。
(芦雪の落款の書体は例に依って画の雰囲気に合わせて書き分けている様な?)
火星人襲来? (芦雪)_e0259194_12325974.jpg
長沢芦雪筆 蛸壺と蛸の図 紙本墨画淡彩 32.3*42.5
24002_R74




二見浦(ふたみがうら)の一帯は、清らかな浜辺を意味する「禊浜」と呼ばれ、伊勢神宮への参拝を控えた人々が、身を清める禊の為の場所でもありました。

特に夏至の日の朝には、夫婦岩(めおといわ)の前で、日の出を拝み禊を行う、二見興玉神社の「夏至祭」と呼ばれる神事も行われていました。

関西では、夏至から半夏生(はんげしょう)までの間に蛸を食べる習慣が今でも残っていますが、そんな事も関連して集められた蛸たちが、ここに描かれているのでしょう。
その意味では、蛸たちが神聖な縁起物だったからかも知れません。
(普通、地上だと重力に勝てずこんな状態でしょうが、みな元気そう)


また、寛政4年(1792)5月には、この付近の多くの民家を流出させる大津波が襲って来た記録が有るのですが、この情景を見ると、そんな災害から立ち直って平穏が取り戻せている様です。



ところで、画に制作日を記す事が少なかった長澤芦雪(1754~1799)ですが、この夏至の日(西暦だと7月23日頃)の儀式を見たと言う事で、当然その後は、お伊勢参りにも向かった事が想像出来ます。
(落款署名のそれぞれの書体は、主に寛政年間後期に使った形の様です)

多分、師の円山応挙が亡くなって(西暦1795年8月31日没)法要も無事に済ませた後でしょうから、弟子の筆頭でもあった芦雪としては、最晩年の解放された気分の長旅だった事でしょう。



【参考】
   恩師である応挙の一周忌法要の後の旅路での「夏至」ならば、
   西暦1798年 6月23日(旧暦 5月8日)
もですが、
   (この時代伊勢参りは「一生に一度は」とも言われたので)
   筆頭弟子の長旅となるので、恐らくは三周忌も済ませた後のはずで、
   それならば、西暦1799年6月23日(旧暦 5月18日)なのでしょう。

   その3週間後(旧暦 6月8日)に、芦雪にも死が訪れるのに・・・








# by Ru_p | 2023-01-12 13:02 | アート・コレクション | Comments(0)

虎も、猫並み(その2)

長沢芦雪 筆 柳下四睡図 紙本淡彩色 30×108 22007_R64
虎も、猫並み(その2)_e0259194_10200970.jpg


芦雪(長沢芦雪:1754~1799)は、何点もの「四睡図」を描いていましたが、この画の「虎」にも、「猫」に近い雰囲気が感じられます。



江戸時代の日本では、本物の「虎」など、殆ど誰も見た事が無いので、虎柄風に「猫」を描いても、それなりに通用した事でしょう。
虎も、猫並み(その2)_e0259194_16063136.jpg




曇に滲んだ「月」は、既に西の空に傾いている深夜の様です。

その手前の捻れた枝や葉は、中国原産の「雲龍柳」の様です。
この柳は、幹も捻れて独特の雰囲気があるので「九曲柳」とも呼ばれ、中国では寺院によく植えられていたそうです。

そんな柳の捻れ具合と、雰囲気を微妙に合わせたかの様な、落款署名の文字の運筆リズムは、芦雪の画では、しばしば見られる拘りの様です。
(書体の特徴は、最も晩年に近い、寛政年間後期のものの様です)



芦雪は描く時の、偶然の「閃き」「即興」を楽しんでいた様で、
そんな画には、何となく『ジャズ』演奏の様な雰囲気を感じます。
師匠(応挙)と全く違う性分らしくて、気分屋だったのでしょうか



  ・・・Good night!







# by Ru_p | 2022-07-15 19:05 | アート・コレクション | Comments(0)

龍に睨まれる (芦雪)

長沢芦雪筆 雲龍図 紙本墨画 87*168 22006_R63 
龍に睨まれる (芦雪)_e0259194_13125237.jpg




禅寺の法棟(はっとう)の天井面等に描かれている事の多い「雲龍図」ですが、龍と虎とが競う様に睨み合う「龍虎図」とは違い、この龍が睨んでいる相手は、画を見ているあなたの様です。

相手を見透かすかの様な眼光は、心に迷いのある者が見れば、恐らく、己の内面が写し出される『鏡』を見た様に衝撃を受ける事でしょう。
(いかにも『禅』風な解釈ですが)



大きな画面に描かれているのは、頭部と爪だけで、とても簡潔ですが、まるで、武道の構え(ファイティング・ポーズ)の様な力強さのある配置なのでか、間近で対面すると緊張感を覚えます。
『武士』の血を引く絵師の精神性も現したかったのか、威圧感のある龍の風貌にも原因が有りそうです。

この龍を見ていると、その顔と手は、極めて近い視点から眺めた様子に描かれています。(手を延ばせば届きそう)
そして、雲を見下ろす空中に、自分も龍と一緒にいるかの様な気分に、次第に思えて来ます。

頭と爪以外の画面の外の部分も「どれ程巨大(どんな体勢)?」と想像させられる、そんな心理的効果も狙って描かれた事でしょう。
(上の爪が右手で、下の爪が左手だとすれば、胴体は?)

また、背景の雲を見ていると、今にも竜巻・稲妻・豪雨が巻き起こり、嵐になりそうな気配が感じられます。
(微妙な筋目状の滲みが、雲の素早い動きを暗示するかの様)

上部に余白が無いので、画の寸法を考えると、襖や屏風の様な使われ方を想定して描いたのでしょうか?



絵師の芦雪(長沢芦雪:1754~1799)にすれば、龍の実物を見る事は出来ないので、前例等での知識や経験を参考にしつつも、納得出来る「存在感」を求めて、不要な描写を削ぎ落とすなど、工夫を続けていた事でしょう。
特に、こんな擬人的(幾らかアニメチック;雄の野良猫の様な不貞不貞しさをも感じられて)な目の表現が上手いのは、おそらく若い頃から、多くの表情を観察して、描き分けの練習を重ねて来たからでしょう。


【落款の印に欠けが有り、署名には寛政後期の特徴;晩年の作?】

何処かの寺の為に描いた画でしょうが、芦雪らしく大胆・奇抜なのに、奥深く見飽きない傑作だと思います。(個人的に)

出来るなら、有名な無量寺の虎図(重文)の反対側にこの画を置いて、龍・虎に挟まれ「睨まれる」なんて、楽しそうです。
龍に睨まれる (芦雪)_e0259194_1755245.jpg
(画集より)

寺の薄暗い部屋の中でなら、更に活き活きとして見える事でしょうし、あの虎も、正面を睨んでいるので、良~く似合いそう。

(~~~どっちも負けるな!)   










ところで、
こんな「龍」が実在した可能性って、どうなのでしょうか?
例え、実在したとしても、翼も無いのに飛べだのでしょうか?
誰かの作り話か、見間違いか、伝承ミスだった可能性は?
(龍には、主に東洋で象徴として扱われる事の多い種類の他に、
西洋のドラゴンも、同種の存在として扱われる事が多いですが、
その習性も性格も、明らかに異なる様ですので、全く別の生物
と見て扱うべきではないかと考えます)


宙に浮くには、浮力(重力と逆向きの力)が不可欠です。
(SF的トリックならば、フォログラムの虚像を宙に映すのは可能)

起こり得そうな一例ですと、名前の由来が共通しそうな「竜巻」で、龍に見紛う何かが巻き上げられる光景を目撃された可能性が考えられます。

また、黒雲の様な部分が、水素かヘリウム製で、浮き袋の機能を備えていれば、幾らかは浮ける事でしょう。
(その場合には、地球外生物の関与も有ったはず?)

あるいは、水生恐竜の生き残りの様な生物が目撃され、その泳ぐ姿が、飛ぶ龍の話に誤伝承された可能性も、幾らか現実味は有りそうです。
(新たに「ネッシー伝説」の様な生物の存在が裏付けられれば更に)



これ等の想像は、龍の伝説が生まれた理由だったかも知れませんが、
龍が実在したと考える根拠には、到底繋がらないでしょう。

しかしながら、
「現実」とは、時に「小説よりも奇」なもので、
人の常識が、あっけ無く覆ってしまう出来事も、
広大な宇宙の、永遠の時間の流れの中では、
いくらでも起り得る事です。

世間の常識では、まず起こり得ない事に思えても、
不可能と「立証」する事にも、難しさが残ります。


ですから仮に、
こんな「龍」が突然、目の前に迫って来ても、
狼狽えない様に、心の準備だけは・・・!

きっと、『夢』には出て来ますよ!!(近々)












# by Ru_p | 2022-06-01 13:08 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の気まぐれ記(ジユウビョウドウ)


by Ru_p

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