仙厓の達磨?
仙厓義梵筆 『達磨図』自画賛 紙本 18015 31×88
口をへの字に結び、僧衣に手を隠した、達磨(ダルマ)と思しき老人が、虚空を見上げながら、何か不満げな表情。
上部に書かれている賛文の、下手くそ(風)な文字は、
「佛の佛け臭きハとへらより鼻可きつか」
もっと現代語(風)に直すと、
「佛のホトケ臭きは、とべらより鼻がきつか」
ここで「とべら」は、節分に門の扉(とびら)などに吊す、鬼が忌み嫌うと言われる「鰯の頭」や「ひいらぎ」と同じ目的で使われていた、葉や枝に独特の異臭のある植物の名称です。
名前の由来は、吊してあった「扉(とびら)」が訛った言葉とも言われています。
禅僧の身でありながら、禅宗の開祖である達磨(?)に、画の中であっても「佛臭い」と、(博多弁で)言わせてしまう大胆さに、多くの人が驚かされた事でしょう。
見る人に「とんでもない不敬」だとか「佛罰が当たるのでは」と感じさせることで、逆に画の世界に引きずり込んてしまう。仙厓さんは、そんな奇抜な表現で、佛の教えの本質(最も大切な何か)を改めて考え直させる事を、目論んでいたのかも知れません。
江戸時代には、幕府の方針によって、寺の「檀家制度」が固められ、以後それに守られ堕落し腐りきった寺院や僧侶等による横暴や乱行が横行しましたので、宗派の違いも含めて実際に「佛臭さ」が「鼻に付く」事態は、実感していた事でしょう。
釈迦が悟りを得て、教えを説いた時代には、その「教え」は単なる信仰の対象と言うよりも、己の心のあり方を知り改める事で自身が救われる為の「哲学」の性格が強かった様ですが、時が経ち、後の人々が拡大解釈を繰り返す内に、佛への信仰心が、救いや加護を得る代償の行為と思わせる風潮が強くなり過ぎて行ったからかも知れません。
ところで、この『達磨』さんの顔は、殆ど威厳が感じられず、単に頑固そうで、お茶目な「おじいちゃん」風です。
仏画にちょっと詳しい人が見れば、当然『達磨』が禅の教えを語る画、と思いがちですが、そもそも、画の中の何処にも、この老人が『達磨』であるとは書かれていません。
その辺に、この画を読む一つの鍵が隠れていのるかも知れません。
(もしかして、単なる人物画?)
おそらくは、この「おじいちゃん」が仙厓さんご本人で・・という解釈も
相手の事を考える故に、敢えて誤解を受けたり非難される事を厭わず、
上部に書かれている賛文の、下手くそ(風)な文字は、
「佛の佛け臭きハとへらより鼻可きつか」
もっと現代語(風)に直すと、
「佛のホトケ臭きは、とべらより鼻がきつか」
ここで「とべら」は、節分に門の扉(とびら)などに吊す、鬼が忌み嫌うと言われる「鰯の頭」や「ひいらぎ」と同じ目的で使われていた、葉や枝に独特の異臭のある植物の名称です。
名前の由来は、吊してあった「扉(とびら)」が訛った言葉とも言われています。
禅僧の身でありながら、禅宗の開祖である達磨(?)に、画の中であっても「佛臭い」と、(博多弁で)言わせてしまう大胆さに、多くの人が驚かされた事でしょう。
見る人に「とんでもない不敬」だとか「佛罰が当たるのでは」と感じさせることで、逆に画の世界に引きずり込んてしまう。仙厓さんは、そんな奇抜な表現で、佛の教えの本質(最も大切な何か)を改めて考え直させる事を、目論んでいたのかも知れません。
江戸時代には、幕府の方針によって、寺の「檀家制度」が固められ、以後それに守られ堕落し腐りきった寺院や僧侶等による横暴や乱行が横行しましたので、宗派の違いも含めて実際に「佛臭さ」が「鼻に付く」事態は、実感していた事でしょう。
釈迦が悟りを得て、教えを説いた時代には、その「教え」は単なる信仰の対象と言うよりも、己の心のあり方を知り改める事で自身が救われる為の「哲学」の性格が強かった様ですが、時が経ち、後の人々が拡大解釈を繰り返す内に、佛への信仰心が、救いや加護を得る代償の行為と思わせる風潮が強くなり過ぎて行ったからかも知れません。
ところで、この『達磨』さんの顔は、殆ど威厳が感じられず、単に頑固そうで、お茶目な「おじいちゃん」風です。
仏画にちょっと詳しい人が見れば、当然『達磨』が禅の教えを語る画、と思いがちですが、そもそも、画の中の何処にも、この老人が『達磨』であるとは書かれていません。
その辺に、この画を読む一つの鍵が隠れていのるかも知れません。
(もしかして、単なる人物画?)
おそらくは、この「おじいちゃん」が仙厓さんご本人で・・という解釈も
「達磨風自画像」!?
相手の事を考える故に、敢えて誤解を受けたり非難される事を厭わず、
誰にでも平然と苦言暴言を並べてしまう、勇敢で心温かいひねくれ老人。
そんな仙厓さん像を思い浮かべる事で、画に共感出来る気がします。
ゆるかわゆい
そんな仙厓さん像を思い浮かべる事で、画に共感出来る気がします。
癒やしが感じられ、好きです。
ゆるかわゆい
by Ru_p
| 2018-05-27 14:39
| アート・コレクション
|
Comments(0)
妄想猫の気まぐれ記(ジユウビョウドウ)
by Ru_p
最新の記事
即ち、席画? (芦雪ならば) |
at 2023-12-12 12:46 |
雪でも楽しい (芦雪の子犬) |
at 2023-12-01 12:31 |
「半跏思惟」かな? (芦雪) |
at 2023-06-10 07:00 |
河豚(フグ)≒ 福(ふく) .. |
at 2023-06-02 19:07 |
MY ・・・ (芦雪) |
at 2023-04-21 11:42 |
アウトドアを楽しむ (芦雪) |
at 2023-04-19 11:16 |
迷路から戻れて、(都路 華香) |
at 2023-04-04 12:31 |
火星人襲来? (芦雪) |
at 2023-01-12 13:02 |
虎も、猫並み(その2) |
at 2022-07-15 19:05 |
龍に睨まれる (芦雪) |
at 2022-06-01 13:08 |
招かれた鬼?(芦雪) |
at 2022-05-10 09:50 |
犬の気持ち (芦雪) |
at 2022-03-18 11:52 |
卓文君? 未完成? |
at 2021-11-20 21:52 |
不敵な眼光 (芦雪) |
at 2021-09-26 13:38 |
子供好き (芦雪) |
at 2021-08-26 15:38 |
名は、かけた? (芦雪) |
at 2021-06-03 19:48 |
描描鹿鹿 (芦雪) |
at 2021-06-03 19:29 |
シャカリキでの修行? (芦雪) |
at 2021-06-03 19:03 |
アニメ風 (芦雪) |
at 2021-05-09 12:47 |
春の宴 (芦雪) |
at 2021-01-01 15:11 |
記事ランキング
タグ
長沢芦雪(長澤蘆雪)(60)美人画(28)
肉筆浮世絵(27)
禅画(16)
杭州寒蘭(15)
開花(14)
仏画(14)
写生画(14)
良寛(11)
和歌(10)
円山応挙(10)
漢詩(8)
月夜(8)
邱北蘭・紫秀蘭(8)
大田垣 (太田垣) 蓮月(7)
葛飾北斎(7)
虎(7)
妖怪(6)
ウチョウラン 羽蝶蘭(6)
仙厓義梵(6)
龍 龍虎図(6)
観音菩薩(6)
牛図(5)
桜新町(5)
サザエさん(5)
アニメ 漫画(5)
波平さん(5)
酒宴(5)
与謝蕪村(5)
桜 さくら(5)
自画賛(5)
木村蒹葭堂(5)
寧々(4)
落款(4)
カラス(4)
白隠慧鶴(4)
猫(4)
清貧(4)
襲名問題(3)
中国春蘭(3)
抽象絵画(3)
鳥居派(3)
古今集(3)
俳画(3)
梅(3)
紅葉(3)
鬼(3)
猿(3)
縁起物・吉祥(3)
不動明王(3)
富士山(3)
正月(3)
サツマチドリ 薩摩千鳥(3)
仔犬(3)
挿絵・装幀画家(3)
七福神(3)
谷文晁(3)
化け狐(妖狐)(2)
弁財天(2)
山水画(2)
寛政の改革(2)
文房四宝(2)
鶏(2)
文殊菩薩(2)
表装(2)
迦楼羅(2)
獅子(2)
雀(2)
里山(2)
左義長(2)
紀貫之(2)
カントウタンポポ(2)
羽箒(2)
鶴・亀(2)
原種(2)
自生地(2)
蛙(2)
鳥文齋栄之(2)
邱北寒蘭(2)
釈迦 仏陀(2)
井上有一(2)
石仏(2)
カタツムリ 蝸牛(2)
前衛的「書」(2)
神様(1)
水源(1)
水着(1)
水墨画(1)
世齋(1)
清時代 仕女図(1)
西行法師(1)
静御前(1)
席画(即興の画)(1)
石渡いくよ(1)
折紙(1)
扇面(1)
素心(1)
鼠 ねずみ ネズミ(1)
双頭花(1)
相撲(1)
以前の記事
2023年 12月2023年 06月
2023年 04月
2023年 01月
2022年 07月
2022年 06月
2022年 05月
2022年 03月
2021年 11月
2021年 09月
2021年 08月
2021年 06月
2021年 05月
2021年 01月
2020年 12月
2020年 11月
2020年 10月
2020年 08月
2020年 07月
2020年 06月
2020年 04月
2020年 02月
2019年 11月
2019年 09月
2019年 07月
2019年 06月
2019年 05月
2019年 02月
2018年 12月
2018年 10月
2018年 08月
2018年 06月
2018年 05月
2018年 03月
2017年 10月
2017年 09月
2017年 07月
2017年 06月
2017年 05月
2017年 04月
2017年 03月
2016年 06月
2016年 05月
2016年 04月
2016年 03月
2016年 02月
2016年 01月
2015年 12月
2015年 11月
2015年 09月
2015年 08月
2015年 07月
2015年 06月
2015年 05月
2015年 03月
2015年 02月
2015年 01月
2014年 12月
2014年 11月
2014年 10月
2014年 08月
2014年 07月
2014年 06月
2014年 04月
2014年 03月
2014年 01月
2013年 10月
2013年 06月
2013年 05月
2013年 04月
2013年 03月
2013年 02月
2013年 01月
2012年 12月
2012年 11月
2012年 10月
2012年 09月
2012年 08月
2012年 07月
2012年 06月
2012年 05月
2012年 04月
2012年 03月
2012年 02月
ブログジャンル
カテゴリ
東洋蘭にゃんこ
アート・コレクション
その他