富士山を見なかった?(芦雪)
富岳図 長沢芦雪筆 紙本 59×120 17020_R38
落款の書体や、印の欠け方から、長沢芦雪(1754~1799)の晩年に近い寛政年間後期の作品の様です。
画題として縁起物を多く描いた芦雪は、富士山の画を幾つか残していますが、その多くで頭頂の角度を誇張したり、延びた裾までを描こうとしてませんし、何処かで見た事のある様な構図が多い気がします。
他の山を見て参考にしたり、想像力を働かせてそれらしく、美しい画には見えるのですが、距離感・スケール感にも、何となく不自然さが感じられます。
(背景や裾野の描かれていない画が多い事にもか?)
どうやら、先人の残した画を見る事はあっても、本物の大きな富士を、じっくりと観察する機会が無かったのではないか(?)と、推測してしまいます。
芦雪が住んでいた京都から、東海道をある程度東へ下って(現代では「上って」と表現)、富士山が見える場所まで行ったとしても、往復ではおそらく半月以上の日数が掛かってしまったでしょうから、修業時代の芦雪であれば、その時間を作る事は難しかったと考えられます。
また、それだけの時間を割いて旅をしたのであれば、当然その途中沿道の風景スケッチも多く残していた事と考えられますが、それらしい画が見られない事も不自然です。
(例えば、頑張って浜松辺りまで行っていたとして、条件さえ良ければ富士山が小さく見える事も期待出来る様ですが、裾野の部分は他の山に遮られ、構図が限られる様です)
一度でも間近で見ていれば、その後の画が大きく変わっていたでしょうに、、、
もっと近くで、実物を見せてあげたかったです。
by Ru_p
| 2017-10-28 13:27
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