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即ち、席画? (芦雪ならば)

長沢芦雪筆 有明月に鷹の図 紙本墨画 39*117 23019_R72
即ち、席画? (芦雪ならば)_e0259194_10515415.jpg



江戸時代頃の鷹狩で、主に使われた鷹の種類は、
オオタカ、ハイタカ、ツミ、クマタカ、ハヤブサ
だったそうです。

そして、この画に描かれているのが、その一つで、
ハイタカ(鷂・灰鷹)と呼ばれる猛禽類の様です。

ところが、この鷹の画を見ていると、どことなく
不自然なギゴチナサを感じます。

どうやら、使われた筆が、描画には適さなかった
かの様です。
(画を描く筆でなく、他の用途に用いられていた
ハケ状の何かの様です)



【ここで、一つの妄想が思い浮かびます】

芦雪は、どこかの殿様に招かれ、その殿様が自慢
にしている鷹を見せられました。

殿様は芦雪に、その鷹を即興で写し描く様に要求
しました。

自尊心の強かった芦雪は、断る事も出来ないので、
そこに有ったハケ状の何かを使って描きました。

有明月や野菊は、芦雪がアドリブで、添景に加えた
のでしょう。



鷹と月とが、ほぼ同寸程度に描かれていますので、自然界にいるのならば、芦雪よりも数十メートル先に隔たっていたはずですが、主役の鷹だけが、至近距離で見たかの様に細部までの描写(擬人化もせず)を試みられています。




芦雪は、筆ではなく指先で描いた「席画」の「戯画」も、しばしば描き残していました。

一度その気になると、売れて来た名声に固執せず、場を盛り上げるサービス精神が暴走して、「奇想」と言われそうな大胆な作品を、惜しげなく披露してくれる潔さ(「武士」の美学か)が、彼の大きな魅力なのだと感じています。


傑作が描けるのに、駄作と評される事も恐れない(多分、酒を飲むと!)





# by Ru_p | 2023-12-12 12:46 | アート・コレクション | Comments(0)

雪でも楽しい (芦雪の子犬)

長澤芦雪筆 雪中の子犬図 絹本墨画淡彩 40.5*101 23022_R71
雪でも楽しい (芦雪の子犬)_e0259194_23571838.jpg
雪の上に残る足跡で、遊んでいた姿も想像出来そう。





芦雪が描いた子犬にしては賢そうだし、
人懐こそうな目がカワイイ。
雪でも楽しい (芦雪の子犬)_e0259194_23591556.jpg






賢そうでない方も、カワイイ。
雪でも楽しい (芦雪の子犬)_e0259194_14135874.jpg









(落款署名は、芦雪晩年のスタイルの様です)



















ユルカワユイ

# by Ru_p | 2023-12-01 12:31 | アート・コレクション | Comments(0)

「半跏思惟」かな? (芦雪)

「半跏思惟」かな? (芦雪)_e0259194_05362545.jpg
長澤芦雪筆 岩上独猿図 絹本墨画淡彩 52.5*122
 23018_R69


岩に腰を掛け、蔦を咬み、赤い顔でこちらを見ている猿ですが、
そのポーズには、仏画の様な雰囲気も感じられます。
    ( どことなく人間的な )

深く没頭する表情の『菩薩』※とは違い、緊張感は無いですが、
世の中の煩わしさを忘れて、達観しているかの様にも見えます。


妙にアニメチックなので、幾らか擬人化の誇張も有る様ですが、
仏画も描いていた芦雪(1754-1799)なので、それも意図して
描いたのかも知れません。

誰かに気の利いた画賛でも書いて欲しいと期待しながら。
( 直接の画賛は書き難いので、私はブログの中でだけ ★ )

「半跏思惟」かな? (芦雪)_e0259194_15235126.jpg
雑念が無く、足るをも知っている目

( 又は、「酔っ払い」がヤキトリでも食べているかの様な? )



干支の一つで縁起物的でもある猿は、画題にされる機会が多く、ライバル絵師(猿の画で名を馳せた森狙仙等)と比較される事も考慮して、この様な趣の工夫(?)を試みたのかも知れません。

作画時期を記す例の少ない芦雪でしたが、署名が流麗な楷書体なので、天明後期から寛政前期(30代半ば頃)に掛けての作品だったのかと思われます。
(絵師としても充実期の)



見ていて癒やしを感じる、飽きない画ですし
( 芦雪も、お酒が好きだったからか )
酒盛りの場に掛けたとしても、楽しくて寛げそう





【参考】※『菩薩』の像の一例ですが、
「半跏思惟」かな? (芦雪)_e0259194_16003620.jpg

楊柳観音図(部分) 法橋/絵所・素運筆 紙本墨画 50*110
No.23010

15世紀末頃のですが、狩野派の御用絵師による画でしょうか、
それまでの仏画とは異り、妙に楽しそうな表情が特徴的です。

 ( おそらくは、画僧でなく絵師の描いた仏画なので )

こんな画が、数十年後に白隠慧鶴(1686-1769)が描く様な
ユニークな仏画の表情にも、影響を与えていたのではないかと
考えられます。

   更には、芦雪の画にまでも・・・











・・・・○・・・・◎・・・・○・・・・◎・・・・○・・・・
# by Ru_p | 2023-06-10 07:00 | アート・コレクション | Comments(0)

河豚(フグ)≒ 福(ふく) (芦雪)

長沢芦雪筆 ふくの図 紙本墨画 25*25.5 21014_R70
河豚(フグ)≒ 福(ふく) (芦雪)_e0259194_19010789.jpg
河豚(フグ)≒ 福(ふく) (芦雪)_e0259194_19011626.jpg
河豚(フグ)≒ 福(ふく) (芦雪)_e0259194_19063105.jpg
芦雪は、作品から連想できる人柄に親近感を覚える大好きな絵師です。



この画の落款署名の書体が「蘆雪」でなく「芦雪」なのは大変珍しく、
印鑑も他に例を見ませんが、フグの表情には、どこか見覚えもあり・・・


本紙と表具との間には「大仏」の割印があり、その表具の方には、
「東大寺下賜 常安寺 ふぐの図 長沢芦雪筆 朝熊かへり筆」
と、書かれています。



「朝熊かけねば片参り」とも言われていた時代の伊勢参りでしたので、
その終盤の「朝熊」からの帰路、なぜか常安寺にも立寄ったとすれば、
この時の数日後だったと考えられそうです。

解釈にも依りますが、おそらく絵師として既に名が売れていた芦雪が、
伊勢参りの一環として、二見浦の禊浜で身を清め、朝熊にも詣でた後、
鳥羽の常安寺にも立ち寄り、歓迎を受けた宴席で画の揮毫を求められ、
語呂もメデタイので、思い付いたフグを(成り行きで?)描き残した。

その後画は、東大寺(大仏でも有名)に渡り、更に何れかに下賜され、
と言うストーリーが思い浮かびます。



芦雪はこの直後、大阪(終焉の地)に向かった、とも考えられます。

まさか、大阪での例の事件には、こんなフグの恨み(毒)もか?
なんて、妄想は果てなく膨らみそうです。



もしかすると、こんな画が芦雪最最期の遺作
(亡くなる半月くらい前の画ならば)

まあ、それも芦雪らしさなのか・・・



# by Ru_p | 2023-06-02 19:07 | アート・コレクション | Comments(0)

MY ・・・ (芦雪)

長澤芦雪筆 青竹蝸牛図(部分) 絹本墨画 28.5*104 23013_R68
MY ・・・ (芦雪)_e0259194_09373347.jpg



若い孟宗竹の様ですが、艶やかで力強い竹稈の存在感が見事です。
対照的に小さなカタツムリが、いっそう愛らしく感じられます。





(カタツムリ部分)
MY ・・・ (芦雪)_e0259194_09395530.jpg


絵師の長澤芦雪(ながさわろせつ/1784~1799)は、ナメクジカタツムリの画を比較的多く残していますので、おそらく、こんな小さな生き物にも親近感を持って観察していたのでしょう。





このカタツムリ、殻が右巻きで縞模様も見えるので、種類は「コベソマイマイ」でしょうか。
普通、右巻きの殻だと、体の上や右側から見ると頂上部が解りやすいのですが、左側からだと、余り良い形には見えません。
ところがこの画は、左側からなのに、殻が頂上まで趣き良く見えています。
(斜め上からの眺めの様に)

単に気紛れだったのだとしても、芦雪は写実を越えて『キュビズム』的に視点を変えての表現を試みたと言う事かも知れません。
(彼の他の作品にも見られるアニメチックなデフォルメの解釈としてでも)











# by Ru_p | 2023-04-21 11:42 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の気まぐれ記(ジユウビョウドウ)


by Ru_p

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