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タグ:長沢芦雪 ( 31 ) タグの人気記事

画の「引き算」 (芦雪)

野菊と岩上の雀図 長沢芦雪筆  09010  29×92.5
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小禽(特に「雀」)は芦雪が特に好んで描いた得意な題材なので、多くの作品が残されていますが、同じであってもこの画では筆数が特に省かれて描いてある様に見えます。
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細かく描くべき詳細部分が省かれているのに、驚くほど強く存在感が現われていることに気付きます。
それは、曖昧な部分を省き描かないこと(つまり「引き算」)が、結果として必要十分な個性を強調したと言うことなのかも知れません。

一説に、芦雪は片目の視力を失っていたとも言われています。とすると、細部が良く見えなくなったことで、反って対象の本質を見抜く力を得た、という事なのかも知れませんね。




滲み・かすれが上手く活かされ、雀の表情は、実に可愛らし・・・



落款印章:朱文氷形印(欠け無し)
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by Ru_p | 2013-10-06 06:00 | アート・コレクション | Comments(0)

芦雪の山水画

月下舟止図 長沢芦雪筆   13011  39x21
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おぼろな月が低く霧のかかる山の上にかかり、風も無く静かな水面に船(底が浅い、琵琶湖など用の)が三艘浮かんでいる光景の様に見えます。

月明かりで彩度の低い情景は、墨の濃淡だけで描くのに都合の良いテーマだったのでしょうが、簡潔で叙情的(寂しげ・悲しげ)な描写がとても見事です。


ところで、この月の欠け方は、日没直後の東の方角に見える形の様です。

全く勝手な想像ですが、
中秋(旧暦の8月中旬)の日没直後に琵琶湖西岸の水辺から、東側を見た光景の様です。

この雰囲気って、何か悲しい事でもあったのでしょうか?









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by Ru_p | 2013-10-03 07:14 | アート・コレクション | Comments(0)

嵐山かな (芦雪)

花の嵐山 長澤芦雪 画/香川景樹 賛歌   13006 25x100

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山の所々に桜の花が咲く静かな嵐山の風景が描かれた、小品ながら叙情的で落ち着いた画です。

「歌界に新風を吹き込んだ」と言われる歌人の香川景樹(直木賞作家の志茂田景樹氏のペンネームの由来とか)による画賛の文から、嵐山は当時も観光名所だったので、シーズンには人々で賑わっていたことがうかがえます。

賛文を、七五調で多少文字の置き換えをすると、下記の様に読めるのでしょう。
残り咲く 花見し人は 散り果てる 夜静かなる 嵐山かな  景樹」

景樹は画賛から、芦雪の画を観て夜の(嵐山の)静けさを感じた、と言いたいのでしょうが、そのことで画が「夜景」だと決めてしまうのは早計の様な気がします。
画の墨色(松煙墨)と、賛の墨色(油煙墨)が全く違うので、景樹は、芦雪がこれを描いた時には同席しておらず、後日(施主から依頼されて?)画賛を入れた可能性が強いと考えられます(景樹がその名に改名したのが芦雪の没年の頃らしいことと、歌人としての名を高めたのが更に後らしいので、この画賛は芦雪の意図よりも、景樹の勝手な解釈で書き加えられた可能性が強いと思われます)。
人影は見えませんが、空も川も白く抜けていますので、芦雪は、まだ空の明るさの残る時間帯の光景を描いたのだと観るのが自然だと思います。薄墨が入らない桜の部分は淡く浮き立っていますが、観る者のイマジネーション次第で、明け方でも夕方にでも見えるのは、画の奥深さなのでしょう。

手前の渡月橋は、江戸時代元禄の頃から今と同じ位置だったのだそうですが、明治初期までは、狭くみすぼらしい、こんな木の橋だったのでしょう。(現在ではコンクリート製で大型車も通れる橋に変わっています)
橋との標高差が三百数十メートルある嵐山は、今と同じ位置なのでしょうが、松や桜は、何世代か前の物で、日本のさくら名所100選として選ばれる200年も前の姿なのでしょう。(現代の姿ともよく似た雰囲気を感じますが)

この画は、嵐山を北東側の少し高い場所から見下ろす様な視点で描かれていますが、この方角に山や丘は無いので、建物から描いたのだと思われます。

※その建物に関してネットで参考となりそうなページを見付けました。
それに依ると、この画の視点と思われる場所(右京区嵯峨天龍寺角倉町9付近)には、豪商だった角倉了以が1606年に邸宅を築き、その建物は江戸時代を通して子孫に維持されて来たのだそうです。2008年には、その遺構の保存品の中から芦雪の襖絵(「飲中八仙歌」の張旭の図)が新たに発見(翌年には京都市が文化財指定)されたのだそうです。(落款から「蘆雪晩年」:寛政後期頃の制作とのことです)


だとすると、芦雪が晩年、そこの襖絵の制作を依頼された時に、この『花の嵐山』も同じ場所で描いた(写生した)と考えるのが自然な推理かとも思われます。
豪商の邸宅で単独の制作活動と言うことは、既に応挙の没後(1796~1799年の春)だったのでしょうか。。

  ついでに、この画も「新発見」ということに・・・??
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by Ru_p | 2013-05-16 20:14 | アート・コレクション | Comments(0)

蘆雪らしさ(雲龍)

13004  45.8x122.6
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大胆な構図・おちゃめな表情・勢いのある描線。


潔く一気に描き上げることで、一瞬のドラマを連想させる効果を出しています。
墨色の違いや滲みの景色をさりげなく活かし、画面からはみ出す主役の要所だけを描くことで、全体の広がりを想像させ、存在感や見応えを演出しています。

蘆雪らしさ(晩年の)がよく出た画ですが、制作時間は僅か(数十分足らず?)だったのではないかと思われます。


江戸時代では45歳を夭逝と言ったかどうか判りませんが、もっと長生きしていたなら・・・・
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by Ru_p | 2013-04-28 13:16 | アート・コレクション | Comments(0)

酒豪たちの詩(芦雪)

①飲中八仙図   12010   58.0x110.0
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『 飲中八仙 』は、中国唐時代に杜甫(とほ)が七言古詩「飲中八仙歌」に詠んだ8人の酒豪たち;賀知章(がちしょう)・汝陽王李(りしん)・李適之(りてきし)・崔宗之(さいそうし)・蘇晋(そしん)・李白(りはく)・張旭(ちょうきょく)・焦遂(しょうすい)のことです(仮名は日本語読みの場合です)。

中国では、日本の七福神の様に、古くから親しまれた存在で、豪快さの表現は当然誇張されているのでしょうが、歌と共に長く親しまれて来たそうです。
芦雪も自らが酒好きであったこともあり、これに関連した画題を好んで(憧れて?)描いていた様です。
そこに出てくる、李白(や布袋など)は単独の画も多く残されているので、特にお気に入りだったようです。

長沢芦雪が描いた「飲中八仙図」では、②バーク・コレクションの作品と ③MIHOミュージアム等の展示会にも出品された画とは互いに構図が酷似していて、既に世間には周知されています。この画①はそれ等とは多少別の構成ですが、仙人毎の構図や筆致には共通した面が多くあります。②③に有った犬の姿は省かれていますが、代わりに?後ろ姿の馬や少し多めの子供たちが加えられ、平和で楽しそうな(芦雪好みの)パーティーの雰囲気が良く出ています。

ところで、大きな違い・・・じつは、この画で芦雪自身が描いたのは、下から四分の三位までで、それより上の部分は、画賛によると「淇淵」(不詳:柳沢淇園のことか?)が山水の遠景を、(戯れで?)描き加えた様です。
明らかにその辺りから筆致が替わって見えますので、その気になれば、腕の良い表具師さんが、二枚別々の画として仕立て直すことすら可能と思われるくらい境目は明瞭です。
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「戯れで」と思わせる理由の一つには、芦雪の落款が「隠し落款」になっていて、よく見ると、画の中の更に別(布袋様)の画の落款部分が「蘆雪」となっていて、『長澤』『魚』の朱文印風の手描き印象があることです。
この様な「隠し落款」の使い方は、この時代に必ずしも例が無い訳ではないのですが、いかにも芦雪が好みそうな『奇想』(サービス精神?)を感じます。おそらくは、仲の良い友人同士で酒を飲み、この話題で盛り上がり、勢いで描かれてしまったからなのではないかと想像します(「応需」でなく?)。それ故なのか手慣れた気儘な表現に見えるので、②③よりも、後で描かれた物かも知れません。
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【参考】
②左: ニューヨーク・バーク・コレクション展よりの「飲中八仙図」
③右: ミホ・ミュージアム 「長澤芦雪 奇は新なり」よりの「飲中八仙図」

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②③の画では、8人目の焦遂?と思われる仙人を囲む集団が、左上遙か後方の丘に陣取って見えますが、①の画では、手前の集団と合流して描かれています。


[飲中八仙歌]
知章騎馬似乗船
眼花落井水底眠
汝陽三斗始朝天
道逢曲車口流涎
恨不移封向酒泉
左相日興費万銭
飲如長鯨吸百川
銜杯楽聖称避賢
宗之瀟洒美少年
挙觴白眼望青天
皎如玉樹臨風前
蘇晋長斎繍仏前
醉中往往愛逃禪
李白一斗詩百篇
長安市上酒家眠
天子呼来不上船
自称臣是酒中仙
張旭三杯草聖伝
脱帽露頂王公前
揮毫落紙如云煙
焦遂五斗方卓然
高談雄弁驚四筵

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by Ru_p | 2013-04-26 12:48 | アート・コレクション | Comments(0)

芦雪も見た ???

わがやの にゃんこ がよくするポーズ
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どこかで見覚えが・・・・・・



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※芦雪の有名な無量寺本堂襖絵の虎は、前足の爪の描写に多少の違和感が感じられますので、片足ではなく「両足を揃えている」と言う説(解釈)があるそうです。
ところが、猫をモデルに観察すると、両足を揃えるのは、獲物に跳びかかる直前で、体(腰)をもっと低く構える様です。
ですからあの虎は、左前足だけを出した時の、獲物に少しずつ近づく猫のポーズ(上のにゃんこと同じ)なのだと思われるのです。

ちなみに、その虎図襖の裏面(二ノ間)には、魚(川の鮎?)を狙って忍び寄る猫の画が描かれています。そこの魚の目から見れば「猫が虎の様に見えた」と言う解釈があるのですが、まさに、上の写真の様なポーズを見たからではないかと・・・?

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by Ru_p | 2013-04-04 17:17 | にゃんこ | Comments(0)

猫顔のトラ (岸駒・芦雪他)

①岸駒の・・・・      (06057)       45*100
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②芦雪の・・・・       (12009)        52.7x110
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それぞれが斜め上方を見据えているので、双幅の「龍虎図」として描かれた物の片割れだと思われます。
(落款と画から①が佐伯岸駒※、②長沢芦雪の筆と勝手に判断しましすが未鑑定;すでに所定鑑定機関もありませんし )

岸駒も芦雪も活きた虎を見る機会が無かったので、中国や朝鮮半島などから渡来した画を参考にしたり、死んだ虎の皮や近くの猫を写生して参考にしたと言われています。
その目は明らかにな猫だとも言い切れませんが、拡大すると虎よりも猫に近い特徴(縦割れの瞳)が見られます。
また、表情も愛嬌たっぷりでとてもカワイイので、猫をモデルに虎に見立てた?可能性がうかがええます。

江戸時代の庶民にとっては虎も、龍と同様に現実には見ることの出来ない空想上の生き物に近い存在だったので、この様に自由でアニメチックな画が描かれたのではないかと思われます。
そしてこの傾向は、この時代と思われる他の多くの虎図に共通してある様です。
 
         (オチャメな虎ネコたち↓)
     ③08002 ????
 
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          ④07013 原在中
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          ⑤06069 麟振義境
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          ⑥06063 熊代熊斐
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          ⑦06055 ????
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          ⑧07006 岸岱
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          ⑨06061 ????
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          ⑩07041 北渚周溪
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          ⑪11004 常山源瑛
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          ⑫08006 庭山文光
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※佐伯岸駒(西暦1756年5月1日? - 1839年1月19日)は特に虎の画には定評があり、もっと精悍で恐ろしい表情の画も多く残しています。(芦雪の虎の方がどれも猫顔的なので好きなのですが、現代人が見て「虎」らしいという意味では岸駒の方が迫力は有る様です)
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by Ru_p | 2012-11-11 08:38 | アート・コレクション | Comments(0)

牛図の意味 ? (芦雪・応挙)

 長沢芦雪筆 牧童と牛の図(②)  07043  39x28
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芦雪は多くのユニークな牛の図を描きましたが牛と牧童の図の解釈としては一般的には「草刈り笛」など日本の昔話が有名です。( ↓ 師匠の応挙も描いています)

 円山応挙筆 牧童と牛の図  09026  39x109
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江戸時代の人は知識レベルが高く好奇心も旺盛で、見立て画での隠しテーマの存在を探したり深読みする事が好きでしたので、芦雪も別テーマの解釈を重ねようと試みた可能性があると考えるのも面白いと思います。

中国から伝わった「十牛図」と言う禅画では、牛と牧童との関係で、牛を心理(本来の自己)や悟りの象徴として、習熟の進み具合を10段階に例えて描いたのだそうです。

禅宗の教えとしてこの意味を知っていた芦雪が、牧童と牛の姿に、彼自身の画業習熟の域をも重ねて描いていた、と言う見方があったとしても面白いのではないかと思います。

動物好きの芦雪にとって、牛は好きな画題だった様で、他にも・・・

 牧童と牛の図(③)  15013 54x104
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by Ru_p | 2012-06-27 12:44 | アート・コレクション | Comments(0)

芦雪の「月」

  07035 紙本 29×116

ただ円く月を描くだけならば私でも・・・・・???
(ところが実際に描こうとするとこれがけっこう難しくて、滲み具合をコントロールする為に、染みて欲しい部分を予め適度に湿らせたりする事に慣れていないので上手く出来ません)

芦雪ならば、定規で描いた様な真円も自在に描けたのでしょうが、このぼんやりおぼろげに歪んだ月と、静かに舞い落ちる花弁のリズム感が好きです。
(本来の主題は、この花弁の方なのでしょう)
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長沢芦雪 筆「朧月に花片の図」


どの一部分を拡大しても、精細には見えませんが、
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独り眺めていると、お酒など すすみそう・・・




















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by Ru_p | 2012-06-22 00:36 | アート・コレクション | Comments(0)

芦雪は孤蝶

「蘆雪」 ついでに   09043
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自由な芦雪は「蕨(わらび)」の愛らしさを、写生で見逃さなかった。

ホッ とする小品です。

  長沢芦雪 筆「孤蝶と蕨」
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by Ru_p | 2012-06-19 22:26 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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