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タグ:葛飾北斎 ( 6 ) タグの人気記事

江戸の餅つき・・(北斎)

餅つきの図 「前北斎為一筆」(絹本 肉筆画)  15009 49.7x40.6 
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前北斎為一(まえほくさいいいつ)と言う名は、葛飾北斎(1760~1849年)の60代始めから70代半ばに使われていた画号なので、真筆ならば今から二百年近く前の肉筆浮世絵ということになりそうです。
(その頃既に「北斎」と言う号は、弟子に譲ってしまっていたので、「北斎だったが、今は為一」と言う、いい加減な理由で命名し、使われていた画号 / 時代が経ち過ぎたので、たとへ真筆であっても、厳密な意味で、その事を証明をする手段は、もうありません:古い物の宿命)

餅の絡んだ杵を力の限りに振り上げ、極まった瞬間らしく、その周りの3人の仕種や表情も、実に活き活きと描かれています。多くの木版画絵本で人気挿絵師として好評を博した北斎らしい画力と構成力(※1)を感じます。

江戸庶民の風俗が画題なのですが、各登場人物(餅つき職人)を連携させる様な構図がバランス良く組み立てられ、全体として躍動感と見応えを感じます。


他の北斎の画でも、雰囲気や存在感を強調する為に重要な役処には、非常に極端な体勢(無理な姿勢)をとらせる事があり、見ている側は楽しいのですが、「まさか、可能だろうか・・・」と感じつつも、知らず知らずに引き込まれていることがよくあります。

腰 折れそっ !!
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例えば、美人画で首を極端に前傾させるなど、人や動物の姿勢の誇張・風景画では遠近感や大きさや勾配などの誇張、 と絶妙で巧みに「誇張」を操ることが得意だったようです。
(やはり、天才・・・!)


(※1)
北斎が50代の頃に、描き貯めた下絵を基に編纂された万民向けの木版画絵手本誌の『北斎漫画』(十二編)の中に、下の様に似た画を見つけました。
(見開き頁左右の画「餅ハ餅屋」を結合して表示:下の木版画の原稿は、上の肉筆浮世絵よりも10年以上前に描かれたことになりそうなのですが、比べると進化の跡?が見られ・・・ 、設定や人物の数が幾分変わっています;北斎の性格ならば、未熟だった頃の似た画と全く同じ構成で描くことは、自在に発想出来るという自負やプライドからも、避けたかったのではないかと思われます)
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肉筆画の方では、歴史風俗記録画としての資料性は薄れているのかも知れませんが、描線や添景が洗練(無駄なく簡略化)され、楽しく滑稽な雰囲気はより強調されたよう・・
鑑賞者の視線が自然に誘導される先を辿ると、ループとなって循環させられる様な構成のトリックもある?(一つの画面なのに、人物毎に目で追って注視すると、自然に次の人物に視線が誘導され、コマの無いマンガや絵巻物の場面を見る様ですし、さらには餅をつくリズム感や声まで感じられる様で、楽しませてくれる画です) 

 笑顔が幸せそう・・・







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by Ru_p | 2015-06-15 00:08 | アート・コレクション | Comments(0)

だるまさんが・・ (北斎)

達磨図 北斎画   15003 28.1x19.8 紙本
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達磨は中国の禅宗の開祖とされていて、インド人の仏教僧でした。
現在まで残っているのは僅かですが、北斎は、その生涯に数多くの達磨図を、好んで描いていた様です。
(北斎は、妙見を始め様々な仏尊を信仰し、また描いてもていた様ですが、彼自身の仏門の宗派は不明らしいです)


北斎は、この様なヒゲ面でとぼけた雰囲気の顔(ちょっと顎を突き出す様なしぐさ)の人物を多く描いていました。
現存する自画像や肖像とは違う様ですが、実際の北斎自身の雰囲気(又は、その内面)がこんなだったのではないか(?)と想像してしまいます。人物画が描く人自身に似て来るのは自然な事なので、場合に依っては『眼瞼下垂』(まぶたが下がりがちになる症状)があった可能性も考えられます。また、寛いだ雰囲気の画に特にそれが多いので、画業で日頃頭部を前傾させる事が多かった彼には、首の凝りを癒すために、頭を後方に反らせて休憩する習慣があったのかも知れません。




線が雑に見えますので「席画」として描かれた物でしょうか・・・
(落款・印章から北斎五十代始め頃の制作かと思われます)











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by Ru_p | 2015-06-13 00:11 | アート・コレクション | Comments(0)

しゃも? (北斎)

     鶏図 北斎筆(扇面)   10020  48x18

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不敵な風貌?のため、ニワトリと言うよりも幾分シャモ(軍鶏)に近い気がします。
シャモは、江戸時代初期にタイ(シャム)から日本に入ってきたらしいのですが、以来交配による改良と絶種が繰り返されたので、当時のままの姿の鶏を今日探すのは難しいと思われます。

北斎が当時シャモを目にしていたと考えられるのですが、この体型からは『闘鶏』用のシャモではなく、ニワトリと交配された「シャモオトシ」と呼ばれる食肉用の比較的ありふれた鶏ではなかったのかと思われます。
そんな鶏を日頃よく観察して、依頼者の求めに応じて、或る日短時間で扇面に描いたのが、この小品なのだと思います。(「扇面」なので、折れ曲がった面に揮毫するため、大変描き辛かったことでしょう。扇子として実際に使われた物を表装するのが一般的なのだそうで、それに依る折れ皺や汚れは「景色」として楽しむものなのだそうです)

落款は『北斎』となっているので、葛飾北斎がまだ若い(40代~50歳代始め?)頃の作品だと思われます。例により、破綻のない構図と無駄のない筆運びには、さすがに「天才の仕事」と感心させられます。


北斎の描く動物たちは、何故か自画像の彼とも、どことなく雰囲気が似ている様で、独特の愛嬌を感じます。






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by Ru_p | 2013-05-10 06:35 | アート・コレクション | Comments(0)

魚籃観音 (の3)

大きな鯉に乗って、サーファーのように水の上を進む姿は、スピード感があり、とても面白い構図です。

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魚濫観世音図 傳 北斎筆   50.8x137.2  07007

本来の「魚籃観音(ぎょらんかんのん)」の「籃(らん)」の字をサンズイの「濫」に置き換えた「題名」ですが、この表示が、北斎漫画の有名な版画と同じなのです。
文字が紛らわしいためか、こんな間違い(又は意図的?)が比較的古く(江戸後期)から有ったという事なのでしょう。

ところで、この観音(観世音・観自在)菩薩は髭の有る男性の顔に描かれています。
「観音菩薩」は本来は男性の設定でしたので、髭は正しい表現なのですが、中国の唐時代以降は女性とする表現が増えたそうです。魚籃観音の由来の話では女性(美女)に化身したはずだったので、ここでも絵師の解釈に間違い(これも意図的?)が有った様です。

仏画なのでか、落款はありませんが「傳 北斎筆」と添え書き(鑑定書)にはありましたので、場合によっては北斎晩年の肉筆画だったのかも知れません。(今さら誰も真筆の立証は出来ないのでしょうが、北斎は敬虔な仏教徒でしたので、当然無落款の仏画を数多く残していました)

下に参考として、北斎漫画での「魚濫観世音」の画像を載せますが、奇抜な構図は確かに似ていると言えそうです。

【参考】 「魚濫観世音図」(『北斎漫画』 十三編の木版画より)
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『ジャポニズム』 の影響で、北斎漫画のこの図柄の鯉の部分を、アールヌーボーの代表的作家のエミール・ガレが模倣し、自身の作品(花器「鯉」1878年)のモチーフとして使っていたことは、とても有名な話です。

【参考】 ( ↓ サントリー美術館のガレ展の画像より転用/比較のため鏡像に左右反転 )e0259194_9254554.jpg












 この画の面白さには、縮れた毛・垂髪・衣・枝などが画面右方向に大きく流れる様に描くことから、体が逆に画面左方向へすばやくターンした瞬間を捉えたと示そうとしている事。それと、顔は正面の高さから見た様なのに、足元や鯉は斜め上方向から見下ろした様に描くなど、視覚的なトリック(見る者の視線が同時には顔と足元を注視ることが出来ないため)を応用して観音菩薩や鯉の存在感を強調しようとしている事など、絵師が視覚効果を意図的に操ろうとした企みが感られる事にあります。また、鯉の上部が水から出ている事を示す描写方法として、水中の体の一部を敢えて描かない(水面と尾の付近)ことで水の存在を表すことなど、多くの工夫を駆使した跡が感じられます。画のテーマにしても、「魚籃観音」とはしましたが、観音菩薩が手にしている枝が柳(楊:少し長過ぎ?※)だとすれば、「楊柳観音」として描いた可能性も十分に考えられ、髭の存在も納得できます。このように深い謎を秘めたことでも、魅力的な(見る人の心理でも見え方の変わる)画なのだと思われます。

(※葉が長すぎるので、もしも、菖蒲の葉だとすれば、鬼除け・魔除けの意味があると言われる「魚籃観音」なのでしょう。更に、鯉と菖蒲とで端午の節句との関連も生じそう;北斎なら、鍾馗の画も多く残しましたので・・・ )





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上の魚濫観音の画に付いていた軸先ですが『卍』が彫られています。
「卍」は、絵師の落款としてはとても洒落た記号だと思いますが、右卍か左卍に関わらず、ほとんどのヨーロッパ諸国では法律によって使用が禁止されているそうです。特にドイツでは「ナチス」との因縁が深く、公の場で使用すると逮捕されるのだそうです。

・・・・・なんとも不運な北斎の画


    



















              
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by Ru_p | 2013-02-14 21:24 | アート・コレクション | Comments(0)

木版版下(北斎?)

古い版下原稿(薄紙に肉筆の墨画)が数十枚綴られた物で、作者は複数らしいです。
その中には、北斎?のような雰囲気の画も混じっていて、面白そうなので、下に何点か並べてみます。   07011
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版下原稿は、木版画の版を作る時に、材料となる木に直接貼り付けて画の上かそのままら原稿ごと彫ってしまうので、完成時には消滅してしまうのが宿命なのです。
今回の品物は何等かの理由で使われずに残った下画を、版元関係者が大切に保管しておいたものかもしれないと思われました。虫食いや傷みが酷く、内容を見ても解かり難いのですが、似たような構図や筆致の物が北斎の作品集にもあることもあり、模写かも知れませんが、江戸時代の物ではないかと思われます。

作者の鑑定はいまさら難しいと思いますし、出来の良し悪しは別としても、これが単なる下書きでなく版下原稿だとすれば、一般の美術作品よりも遥かに残り難い希少な物なのでしょう。





画の比較参考のために下に北斎の作品集からの画像を幾つか並べてみますが、雰囲気はけっこう似ている物があると思いますので
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by Ru_p | 2012-11-16 21:21 | アート・コレクション | Comments(2)

北斎風 (北渓?)

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以前「作者不詳」として安く入手して、我が家に来てくれた古い肉筆浮世絵。
よく見ると下の口紅は緑色なので、江戸時代中・後期の化粧法で『笹色紅』。
本紙の傷み具合もそれくらいだし、画はそれとなく北斎風なのだけど、
構図全体に北斎の様な個性が臭わない。となるとお弟子さんの作かな?
虫食いの落款を眺めていると、、脳裏に『北渓』の名が浮かびました。
本業魚屋だったトト屋北渓さんの・・・?(知名度は低い)
師匠が偉大すぎると、多少実力があっても評価されないのは昔も今もかな・・

足下付近のシミが気になるけど、この程度なら自分で表具修復が出来そうです。
(将来は表装の練習用に!)
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by Ru_p | 2012-03-12 00:00 | アート・コレクション | Comments(2)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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