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良寛の五言律詩


  11010
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生涯懶立身 騰々任天眞 嚢中三升米 爐邊一束薪
誰問迷悟跡 何知名利塵 夜雨草庵裡 雙脚等間伸
                         良寛書



生涯身を立つるに懶(ものう)く 騰々(とうとう)天真に任す 嚢中(のうちゅう)三升の米 炉辺(ろへん)一束の薪(たきぎ)
誰か問わん迷悟(めいご)の跡 何ぞ知らん名利の塵 夜雨草庵の裡(うち) 雙脚(そうきゃく)等間(とうかん)に伸ばす

立身出世に興味無く この本性に生きたのだ ズタ袋には米三升 薪は炉辺の一束か
迷や悟は聞くだけ野暮よ 金もいらなきゃ名誉もいらぬ 足を延して安臥 夜雨の極楽


相変わらず改行の位置に無頓着なので読み難いのですが、文字は見事!
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文字を『読んで』理解してもらうことが目的なのではなく、ただ書くことを愉しんだ。ということだったのでしょうか?







前衛芸術という意識で見れば井上有一の書にも通じる精神性を感じます。
戦後いち早く入手し愛読していたとされる良寛さんの詩集を題材にして『井上有一』は何点も作品を残しています。その中で、上の詩の作品(1960年制作で、木炭描き;元となったと思われる良寛さんの詩の28~30文字目が23~27文字目と入れ替わっている様ですが、全体としての意味は大きく変わることはありません)では、その精神性を受け継いで・・・おそらく良寛さんには共感を覚え、強い影響を受けていたからでしょう。

e0259194_10141450.jpg          【参考】(カタログレゾネ『全書業』第一巻189頁のCRNo.60059より)


























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by Ru_p | 2012-07-04 07:11 | アート・コレクション | Comments(0)

良寛の姿

  11021
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良寛さんが珍しく自分の姿を詠んだ詩だそうです。

良寛さんのほぼ同じ内容の作品が幾つか現存している様です。僅かに言い回し(?)が違っていますので、例によって「誤字脱字」の類で七言詩なのに余分な字が混じってしまっている様です。
そんなことには全く無頓着でしっかりと落款署名してくれています。(主に青字の部分が余分?/緑字部分には類似の別の字のバージョンがある様です)
おそらく、晩年に思い返して書き直した物だからではないかと思われます。

頭髪蓬々耳卓朔  
衲衣半破若雲烟  
日暮城頭帰來  
児童相擁前又後
  

頭髪蓬々として耳卓朔なり
衲衣半ば破れて雲煙の若し
日暮城頭帰来時の路
児童相擁す前また後ろ

      良寛書


髪は耳をも越えて伸び、衣はぼろぼろに破れてしまい、城近くの日暮れ時の帰り路で、前と後ろとから子供に支えられている

在りのままの自分の姿を詠った詩;内容にも字にも全てを曝け出せる生き方が見えます。
『書の達人』と言われたのは、ただ手本の字の形を真似る技のことではなく、他人にどの様に見られるかなど気にせずに筆を動かせ、心の自由を感じさせる『書』が描けたからだと思います。高齢になってから「独り遊び」として書を始めた良寛さんの字は、形に理想を求めるだけの『書道』の手本には出来ないのかも知れませんが、その心の有り様は手本にしたいものです。










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by Ru_p | 2012-07-03 14:32 | アート・コレクション | Comments(0)

良寛の書簡

 書簡「ふとんたまはり・・・」

良寛さんが弟の由之に宛てて書いた手紙で、由之から蓮の花柄の座布団が送られた事に対する返礼の言葉と、自作の歌が4首書かれています。    11024 858×166
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日付の3月2日は、西暦1830年3月25日(亡くなる11ヶ月前で満72歳頃)の様です。


これと殆ど同一内容の書簡が他にも存在するらしく、その一つが東博にあり、最近もそれが展示されていた様です(ネット検索でも目に出来ました)。

どちらかが真筆(又は両方共偽筆?それとも下書き?)なのか厳密な立証は今更難しい(偽筆の場合には客観的な評価法で、検証出来る場合も有ります)ですが、資料としてでなく鑑賞対象としては、個人的には此方が好き(楽しい)です。

生前から書家として極めて高名だった良寛さんの墨跡には同一内容の品が幾つか存在する事があり、どちらかが極めて巧妙な偽筆で、どうしても真偽判定を下し難い場合もあります(両方共が偽筆とか真筆の可能性も有り得ます)。

当時から、多くの腕利きの書家達が良寛さんの墨跡の臨書を試みて来た様で、中には自身が「良寛」になりきって(自己暗示?)書いたと思えるほど良く出来た偽筆もあります(良寛さんの超遅筆のリズムを貫く精神集中と技には驚・・)。

また、国立の博物館や美術館では、「近代美術」として海外での方が先に高く評価されてしまった井上有一作品の様な僅かな例外を除いて『書』は『美術品』としては分類上扱わなかったそうですが(いろいろと歴史的に深い経緯が・・)、中には疑惑の品も在るようです。


行の揺らぎや字のバラツキ方を見ると、良寛さんが文を書いた時のリズムが伝わる様で癒され楽しめます。
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【内容】
 ふとんたまは(賜)り うやうやしくおさ(納)めまいらせ候 春寒まことにこまりいり候
 然れども僧は無事に過ごし候 ひせむ(皮癬)も今は有か無きかになり候
●かせ(風)ませ(混ぜ)に 雪はふ(降)りき(来)ぬ雪ませ(混ぜ)に 風はふ(吹)きこ(来)ぬ うつ(埋)みひ(火)に あし(足)さ(差)しのべ(延べ)〔※て〕
つれづれと くさ(草)のへほり(庵)に とち(閉じ)こもり うちかそ(数)ふれば きさらき(如月)も ゆめ(夢)のこと(如)くにすき(過)ぎにけらしも
●つきよめは(月読めば)すでにやよひ(弥生)になりぬれ〔※ど〕 ぬへ(野辺)のわかな(若菜)も〔※摘ま〕ずありけり

みうたのかへし
●極楽の蓮のうてな(蕚)を手に取りて われに送るは君が神通(神通力の省略)
●いざさらば蓮の上にうち乗らむ よしや蛙と人は言ふとも

やよひ二日
由之老    良寛



上の歌の中で3カ所〔※ 〕が脱字(意味は通じそう)ですが、東博に収蔵されている方の書簡には、この脱字が有りませんし、全体の揺らぎ(大きさ・配置・間隔などの)も少なく整然と見えます。(その意味で此方は下書きだったのかもしれません。手紙での歌の詠みあいを続けて楽しむには、自身の句の控えを手もとに残す必要が・・・)

良寛さんの文には脱字が異常に多くて有名です。運筆に時間を掛け過ぎて忘れてしまったのではないか?とも言われることがあり、その大らかさも魅力なのです。






【参考】
最上段の画像をレベル調整で編集してみると、縦に4ヶ所の切り継ぎ線が見えます。
e0259194_16180152.jpg
(右から、約11cm/17cm/16cm/23cmが切り継ぎ位置/左残りは約20cm )
江戸時代の紙は、漉きサイズが比較的小さい物が一般的だったのですが、この巾と紙質(雑な漉き方の貧相な楮紙)の組み合わせは、あり合わせの余り紙を繋ぎ合わせて大切に使い切ろうとした結果と思われます。また、その切り方は定規も使わない安易な方法ですので、この書簡の目的(気心の知れた身内に宛てた手紙)には合った使われ方だと思われますが、むしろ下書き又は、自作歌の手元控えの方が更に・・。

もしも、この継ぎ目部分に毛髪や垢の一部(DNA標本)でも挟まれていれば、書簡の真偽判定に大きく影響しそうなのですが、そこを剥がしてまで探る「愉しみ方」は将来の管理者に委ねる事にしましょう。

(左端の切り継ぎ部分拡大画像)
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by Ru_p | 2012-06-28 22:24 | アート・コレクション | Comments(0)

雪裏梅花徒一枝(良寛)

今ごろの季節は地域によってはまだ雪が残っていそう。

大好きな良寛の詩で、今ごろの(新潟辺りだと)かと思われる詩が
あったのでアップします。   10032 36.5×24.5
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絹ではなく木綿の晒し布にさり気なく書かれ、汚れていても当時の生活臭を感じさせるので、敢えて染み抜きをし過ぎない表装が面白いです。

良寛の書は、他人に上手く見せようと言う気負を感じさせない処が魅力ではないかと思いますし、自由に伸び伸びと書かれた字から自身が楽しんでいていたと思われるところも。

    『雪裏梅花徒一枝』 

元の意味では、「悟りは、雪の中に梅の花が一輪、綻び咲くところにある」と言う禅の言葉らしいです。

この薄汚れた布きれを眺めていると、真っ白な雪と一枝の梅花の美しい情景や甘い香りまで感じられそうな気がして、 まるで「清貧」を象徴する抽象画の・・・












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by Ru_p | 2012-03-12 12:22 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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