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芦雪の山水画

月下舟止図 長沢芦雪筆   13011  39x21
e0259194_17412489.jpg

おぼろな月が低く霧のかかる山の上にかかり、風も無く静かな水面に船(底が浅い、琵琶湖など用の)が三艘浮かんでいる光景の様に見えます。

月明かりで彩度の低い情景は、墨の濃淡だけで描くのに都合の良いテーマだったのでしょうが、簡潔で叙情的(寂しげ・悲しげ)な描写がとても見事です。


ところで、この月の欠け方は、日没直後の東の方角に見える形の様です。

全く勝手な想像ですが、
中秋(旧暦の8月中旬)の日没直後に琵琶湖西岸の水辺から、東側を見た光景の様です。

この雰囲気って、何か悲しい事でもあったのでしょうか?









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by Ru_p | 2013-10-03 07:14 | アート・コレクション | Comments(0)

秋の三夕

10026
e0259194_12594513.jpg

古くて全体に黒ずんだ渋めの墨画で画も字も実に上手いのですが、落款印章が不明瞭なので、作者は不詳です。
(下の画像は画像ソフトで明瞭に見えるように調整したものです)
e0259194_1302624.jpg


新古今集の有名な「三夕(さんせき)」と言う首の(秋の)暮れのもの寂しさを詠んだ和歌らしいと判明したのですが、重要な位置に必要な語句がない(虫食い?色褪せ?書き損じ?)ので、文として成立していません・・・と諦めかけて再度見直していると、、既知の和歌の語句に相当する欠落部分が『絵』で置き換えられ『絵文字』に見えることに気付きました。

現代仮名への文字(と絵の)訳は下記の様に、

①心なき身にも哀れは知られけり 鴫(しぎ)立つ沢の秋の夕暮れ
                                 (西行法師)

②見渡せば花も紅葉もなかりけり 浦の苫屋(とまや)の秋の夕暮れ
                                 (藤原定家)

③寂しさはその色としもなかりけり 槇(まき)立つ山の秋の夕暮れ
                                 (寂蓮法師)


それぞれの赤字部分、が下の画像のように絵で置き換わっています。


  ①(鴫が飛んでいる絵:水鳥)
e0259194_17192650.jpg

  ②(苫屋の絵:粗末な家)
e0259194_17195590.jpg

  ③(槙が立っている山の絵)
e0259194_17202131.jpg


新古今和歌集は鎌倉時代初期に後鳥羽上皇の勅命により編纂された勅撰和歌集で、元久2年(1205年)に完成。テーマごとに配列され、秋上の巻になるこの三夕は当時から特に評価の高かった歌らしいです。

実に手の込んだ趣向(絵文字)の珍品で、画も字も同一筆者と思われます。
別々の場所の情景なのに「秋の夕暮れ」の共通する情感が絵の様に漂っている和歌だったからでしょうが、当時は遊び心のあるお公家さんの発想と指示で作られた山水画の名品(貴族のお宝)だった物が、長い間忘れ去られていてやっと日の目を見て再評価される機会を得たようです。

かなり古い物で、傷み具合は室町~?にも見えなくはないのですがまさか(検証してませんが、画が狩野派ならば・・・江戸時代前期?)。

「鴫立沢」という地名は神奈川県大磯町の『鴫立庵』という西行の記念館の近くにもあります。但しそこは、寛文4年(1664年)にそれらしい場所と言うことで標石が建てられただけの場所だそうで、「西行物語」によると、①の歌が詠まれたのが、文治2年(1186年)西行が奥州平泉に向かう途中だそうなので、この画の作者が知っていたかどうかは疑問ですが、本当の「鴫立沢」は現在の「江ノ島」の辺りになるのだそうです。

②の藤原定家の歌は1186年の作で、③の寂蓮法師(俗名は藤原定長)の歌は1191年の左大臣(良経)家十題百首からだそうですので、何れも鎌倉初期の作ということだそうです。

※①の句の「秋」に当たる字ですが(①・②・③とも敢えて別の字体にしている様なので)、読みは「あき」なのでしょうが、『流』の様にも見えてしまい不詳な文字です。
e0259194_1848297.jpg

(三首とも共通して「あきのゆうぐれ」で終わるので、変化を付けるために凝って使った旧字の様にも思えます)
e0259194_1815125.jpg

元字が何なのか私には自信がありません。
何方かお解りになりましたらご教授をよろしくお願いします。
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by Ru_p | 2012-10-06 12:59 | アート・コレクション | Comments(0)

宜??(蕪村)

魚売り舟の山水図  謝春星筆 (画質調整済) 絹本 49.6x36.4 12005
e0259194_13523051.jpg

じつに穏やかで楽しそうな日常の一場面。勝手な想像ですが、遠い山の霞や人物の衣装、それに大漁の魚から、初夏の早朝を感じます。

画のもっと右上の方に実は「謝春星」の落款と「壬辰冬写於夜半亭中」との記述があります。どうやらその場で見たの情景と言うよりも、記憶と心象(近郊の夏の渓流風景?)を重ねて描いた山水画なのではないかと思います。(「謝春星」は、与謝蕪村の絵師としての雅号で、俳画で俳人の場合の雅号を「蕪村」として使い分けていました)

「壬辰冬」は干支から明和9年(西暦1772年)の冬(10~12月)に当たり、蕪村が57歳の頃の作と言うことになりそうです。また、池大雅との共作で有名な十便十宜図(大きさがこれの約6分の1程度だった)が描かれた約1年後に当たります。
(この頃元号が明和から安永に変わったので、元号を安永と書かないと言うことが、まだ明和の年の末で、10月から11月16日の改元以前の作とも考えられますが??)

ここの人物の姿に中国の香りを感じるのは、蕪村が中国文人画に憧れて大きな影響を受けていたからでしょうが、それならば、優しそうな庵の亭主には蕪村翁自身を投影したと解釈すべきなのでしょうか?つまり、ここでの登場人物がある意味では洒落た「隠し落款」のつもりでもあったのかも知れませんね。

魚を売ろうとする老女とそれを秤で検めようとする庵主の表情からはまるで会話までが聞こえて来そうです。若くて寡黙そうな船頭は老女の息子かと思われますが、舟が流されない様に川底に立てる竿の様子からは、深さや水量までも想像されます。また、庵の奥から優しそうな眼差しで亭主を見守る夫人の表情からは、幸せな生活の安堵感が窺えます。心に描いた理想の情景の様で、とても楽しそうな雰囲気の画です。おそらく、絵師自身も楽しみ遊びながら描いていたことでしょう。(池大雅の釣便図とも似た長閑な雰囲気が感じられます)

これは古い画なので、真筆かどうかは不明(真筆の場合でも誰も立証は出来ません)ですが、作者が真摯な気持ちで描いたことは伝わってきます。風で竹の葉の摺れる音や、川の爽やかな水音までが聞こえて来る様に画の中に引き込まれる、好きな画です。



e0259194_12303738.jpg上の画像は写真編集ソフトで見やすく調整し直した物で、色修正前の実物の画は、まだ染み抜き洗浄していないので、経年のため右の様に色焼けで赤・黄色が濃く暗い見苦しい物で、参考として載せます。
































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by Ru_p | 2012-04-26 21:32 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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