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良寛の書 「・・兔角・・」

16015 48×131
e0259194_191236100.jpg

      口  足  身  手
      吟  着  着  把
      無  亀  空  兔
      聲  毛  華  角
      詩  履  衣  杖

   良
   寛




手に兔角の杖を把り
身に空華の衣を着け
足に亀毛の履を着け
口に無声の詩を吟ず

( 口に無声の詩を吟ずることは、普通はあり得ない行動ですが、そこにこの詩の意・・・? )

良寛さんの自作の詩なのですが、漢詩として見れば、前3行の文字には下の「寒山」(中国唐時代の伝説の奇人僧)が作ったとされる漢詩からの部分的な引用があります(仏教用語の文字や韻律で)。

身着空
亀毛履
手把兔角

擬射無明鬼

ここで共通する「兔角」「空華(花)」「亀毛」の3つの言葉は、何れもこの世に存在し得ない架空の物を指す象徴的な仏教用語なのだそうです。


日本の仏教は、「仏の教え」として伝わって来た経文を正確に写し(コピー)伝える文化が当たり前だったのですが、良寛さんは この詩を自身の独自の世界に取り込んで、『書』の面白さとして楽しんでいた様です。


ここでも、仮名文字風で日本的・・・ 抽象絵画風で好きな『書』です。




沢山の詩や歌を作ったとされる良寛さんなのですが、その『書』も度々(複数回)揮毫される事があった様で、今日でも多くの作品が残されています。
ところが良寛さんは、それらを手元に控えて残しておく事が出来ていなかったらしく、書の揮毫の度に部分的に文字の変更が見られる事があります。(他の歌人でも、同様のことはあります)
良寛さんが作った詩に関しては、多くの研究が行われて来たのですが、書かれたその文字は、特に癖(簡略化などのアレンジ)が強く読みとり辛いこともあるので、それらの別バージョンの内容は、今まであまり多くは取り上げられることがなかったようです。
良寛さんは同じ詩を書いていたつもりだったのかも知れませんが、控えも持たずに何十年も前の詩を思い出すとなれば、細部の変更が生じたとしても不思議な事ではありません。恐らくご本人は、詩の論理的に微妙な構成要素よりも、『書』としての出来映えの方が関心が強かったのではなかったのか(?)と思われます。









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by Ru_p | 2016-05-22 19:26 | アート・コレクション | Comments(0)

良寛の書 「・・夜雨・・」

16014 48×131
e0259194_1975678.jpg


夜雨袈裟老暁烟無
人(問※)消息年々又年

 釋良寛書


長い修業時代の迷いの気持ちを顧みた詩のようですが、良寛さん自作の漢詩です。

※当初は、下の様な五言律詩の構成だったようです。(朱色が共通文字)

自参曹渓道
千峰深閉門
藤纒老樹暗
雲埋幽石寒
烏藤朽夜雨
袈裟老暁烟
無人
消息
年年又年年


おそらく 晩年に、好きな(?)文字だけを並べて『書』を楽しんだのでしょう。

(漢詩の制約も越えられる、自由な人の・・・ )


この『書』も、漢文なのに仮名の雰囲気があり、抽象絵画のような魅力もあり、好きです。












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by Ru_p | 2016-05-22 18:30 | アート・コレクション | Comments(0)

良寛の書 「・・兄弟・・」

16013 48×131
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 到 又 生 我 一 一 〳 余
 處 見 涯 見 人 人 〵 郷
 亡 其 如 其 愚 辨 心 有
 命 聰 有 愚 且 而 各 兄
 趨 者 餘 者 訥 聰 殊 弟


「ここに人柄の良い兄弟がいて、愚かで口下手な方(の良寛さん)は、気持ちに余裕を持って暮らし、利口で能弁な方(弟の由之)は、常に忙しく走り回っている」
という様な意味なのでしょう。
( 小利口で口が達っても、必ずしも人生が豊ではないと・・・ )

※「訥」 トツ;「口ごもって、つっかえながら言う」の意味。

良寛さんが、弟に家督を譲って退いた後の実家の没落ぶりを知り「自分と弟との性格を比較し、人生の不可解さを感じながらも、本当に豊かな生き方はどちらだったのかを問うかの様な詩です。

4歳下だった弟の山本由之は、文化7年(1810年:由之48歳の頃)には名主職を失い、家財没収・所払いの処分を受け、謹慎せざるを得ない状況に追い込まれていたそうです。

ここの詩はその頃に良寛さんが作ったらしいのですが、この『書』は、後年に思い出して書き直した物ではないかと思われます(微妙に文字の異なる別バージョンが何点かあるようです)。五言詩の形なのですが、まるで仮名文字を見る様なデフォルメには「日本的」な味わいを感じます。

極めて大胆で簡潔な(論理的でもあるべき)文字は、個性が強く読み難いのですが、全体を抽象絵画(か?)として眺めると、妙に調和とか躍動感があります。

良寛さんは、本来中国から伝わった漢詩であっても、その自由で大胆な感性でアレンジして遊び楽しんでしまっていた様です。


この『書』は、文節の切れ目、改行の位置など細かなバランスなどを超越して、更に何かを語っています。



身近な肉親の消息は、誰でも当然 気に・・・











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by Ru_p | 2016-05-22 15:00 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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