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良寛自作の詩

    09029
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良寛さんが国上山の五合庵で作った詩から、最晩年思い出した字を書き連ねた物らしく、下の漢詩の赤い部分の字がそれに当たります。
大胆な脱字にも頓着しない人柄だったのか、込められた意味は元の詩と同じなのでしょうが、好きな字だけ書いた作品の様に思えます。

少小抛筆硯 窃慕出世人
瓶與一鉢 游方凡幾春
帰来絶巘下 静
卜草堂貧
鳥充絃歌 瞻雲為此隣
崖下有
清泉 可以濯衣巾
嶺上有松柏 可以給採

優遊又優遊 薄言永今晨


「各地を僧として行脚したが、今は静かなこの庵で暮らして愉しい」とでも言うのが大まかな意味かと思います。

※元の詩には無い「日(?)」の字が上に飛び出した様に「清」の前に書き足されて在りますが・・。
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by Ru_p | 2012-06-29 16:19 | アート・コレクション | Comments(0)

良寛の書簡

 書簡「ふとんたまはり・・・」

良寛さんが弟の由之に宛てて書いた手紙で、由之から蓮の花柄の座布団が送られた事に対する返礼の言葉と、自作の歌が4首書かれています。    11024 858×166
e0259194_16163553.jpg
日付の3月2日は、西暦1830年3月25日(亡くなる11ヶ月前で満72歳頃)の様です。


これと殆ど同一内容の書簡が他にも存在するらしく、その一つが東博にあり、最近もそれが展示されていた様です(ネット検索でも目に出来ました)。

どちらかが真筆(又は両方共偽筆?それとも下書き?)なのか厳密な立証は今更難しい(偽筆の場合には客観的な評価法で、検証出来る場合も有ります)ですが、資料としてでなく鑑賞対象としては、個人的には此方が好き(楽しい)です。

生前から書家として極めて高名だった良寛さんの墨跡には同一内容の品が幾つか存在する事があり、どちらかが極めて巧妙な偽筆で、どうしても真偽判定を下し難い場合もあります(両方共が偽筆とか真筆の可能性も有り得ます)。

当時から、多くの腕利きの書家達が良寛さんの墨跡の臨書を試みて来た様で、中には自身が「良寛」になりきって(自己暗示?)書いたと思えるほど良く出来た偽筆もあります(良寛さんの超遅筆のリズムを貫く精神集中と技には驚・・)。

また、国立の博物館や美術館では、「近代美術」として海外での方が先に高く評価されてしまった井上有一作品の様な僅かな例外を除いて『書』は『美術品』としては分類上扱わなかったそうですが(いろいろと歴史的に深い経緯が・・)、中には疑惑の品も在るようです。


行の揺らぎや字のバラツキ方を見ると、良寛さんが文を書いた時のリズムが伝わる様で癒され楽しめます。
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【内容】
 ふとんたまは(賜)り うやうやしくおさ(納)めまいらせ候 春寒まことにこまりいり候
 然れども僧は無事に過ごし候 ひせむ(皮癬)も今は有か無きかになり候
●かせ(風)ませ(混ぜ)に 雪はふ(降)りき(来)ぬ雪ませ(混ぜ)に 風はふ(吹)きこ(来)ぬ うつ(埋)みひ(火)に あし(足)さ(差)しのべ(延べ)〔※て〕
つれづれと くさ(草)のへほり(庵)に とち(閉じ)こもり うちかそ(数)ふれば きさらき(如月)も ゆめ(夢)のこと(如)くにすき(過)ぎにけらしも
●つきよめは(月読めば)すでにやよひ(弥生)になりぬれ〔※ど〕 ぬへ(野辺)のわかな(若菜)も〔※摘ま〕ずありけり

みうたのかへし
●極楽の蓮のうてな(蕚)を手に取りて われに送るは君が神通(神通力の省略)
●いざさらば蓮の上にうち乗らむ よしや蛙と人は言ふとも

やよひ二日
由之老    良寛



上の歌の中で3カ所〔※ 〕が脱字(意味は通じそう)ですが、東博に収蔵されている方の書簡には、この脱字が有りませんし、全体の揺らぎ(大きさ・配置・間隔などの)も少なく整然と見えます。(その意味で此方は下書きだったのかもしれません。手紙での歌の詠みあいを続けて楽しむには、自身の句の控えを手もとに残す必要が・・・)

良寛さんの文には脱字が異常に多くて有名です。運筆に時間を掛け過ぎて忘れてしまったのではないか?とも言われることがあり、その大らかさも魅力なのです。






【参考】
最上段の画像をレベル調整で編集してみると、縦に4ヶ所の切り継ぎ線が見えます。
e0259194_16180152.jpg
(右から、約11cm/17cm/16cm/23cmが切り継ぎ位置/左残りは約20cm )
江戸時代の紙は、漉きサイズが比較的小さい物が一般的だったのですが、この巾と紙質(雑な漉き方の貧相な楮紙)の組み合わせは、あり合わせの余り紙を繋ぎ合わせて大切に使い切ろうとした結果と思われます。また、その切り方は定規も使わない安易な方法ですので、この書簡の目的(気心の知れた身内に宛てた手紙)には合った使われ方だと思われますが、むしろ下書き又は、自作歌の手元控えの方が更に・・。

もしも、この継ぎ目部分に毛髪や垢の一部(DNA標本)でも挟まれていれば、書簡の真偽判定に大きく影響しそうなのですが、そこを剥がしてまで探る「愉しみ方」は将来の管理者に委ねる事にしましょう。

(左端の切り継ぎ部分拡大画像)
e0259194_17083805.jpg





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by Ru_p | 2012-06-28 22:24 | アート・コレクション | Comments(0)

牛図の意味 ? (芦雪・応挙)

 長沢芦雪筆 牧童と牛の図(②)  07043  39x28
e0259194_1622857.jpg


芦雪は多くのユニークな牛の図を描きましたが牛と牧童の図の解釈としては一般的には「草刈り笛」など日本の昔話が有名です。( ↓ 師匠の応挙も描いています)

 円山応挙筆 牧童と牛の図  09026  39x109
e0259194_3333770.jpg

江戸時代の人は知識レベルが高く好奇心も旺盛で、見立て画での隠しテーマの存在を探したり深読みする事が好きでしたので、芦雪も別テーマの解釈を重ねようと試みた可能性があると考えるのも面白いと思います。

中国から伝わった「十牛図」と言う禅画では、牛と牧童との関係で、牛を心理(本来の自己)や悟りの象徴として、習熟の進み具合を10段階に例えて描いたのだそうです。

禅宗の教えとしてこの意味を知っていた芦雪が、牧童と牛の姿に、彼自身の画業習熟の域をも重ねて描いていた、と言う見方があったとしても面白いのではないかと思います。

動物好きの芦雪にとって、牛は好きな画題だった様で、他にも・・・

 牧童と牛の図(③)  15013 54x104
e0259194_2321079.jpg






 














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by Ru_p | 2012-06-27 12:44 | アート・コレクション | Comments(0)

芦雪の「月」

  07035 紙本 29×116

ただ円く月を描くだけならば私でも・・・・・???
(ところが実際に描こうとするとこれがけっこう難しくて、滲み具合をコントロールする為に、染みて欲しい部分を予め適度に湿らせたりする事に慣れていないので上手く出来ません)

芦雪ならば、定規で描いた様な真円も自在に描けたのでしょうが、このぼんやりおぼろげに歪んだ月と、静かに舞い落ちる花弁のリズム感が好きです。
(本来の主題は、この花弁の方なのでしょう)
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長沢芦雪 筆「朧月に花片の図」


どの一部分を拡大しても、精細には見えませんが、
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独り眺めていると、お酒など すすみそう・・・




















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by Ru_p | 2012-06-22 00:36 | アート・コレクション | Comments(0)

芦雪は孤蝶

「蘆雪」 ついでに   09043
e0259194_12242717.jpg

自由な芦雪は「蕨(わらび)」の愛らしさを、写生で見逃さなかった。

ホッ とする小品です。

  長沢芦雪 筆「孤蝶と蕨」
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by Ru_p | 2012-06-19 22:26 | アート・コレクション | Comments(0)

芦雪の孔雀

   07048
e0259194_2073539.jpg右の画、王建章という中国明朝末の画家の画を芦雪が写した物の様ですが元画に関しては判りません。

孔雀は日本へ6世紀に新羅から送られた記録があるそうですが、おそらく江戸時代の日本では生きた孔雀を見た人は少なかったのでしょう。模写と言うことも有り、構図や添景は装飾的に構築されて、いわゆる決めポーズになっていますが、爪・嘴などには芦雪が鶴や鶏などの鳥類を観察して得たディティールの解釈が活かされているように感じます。
















長沢芦雪 筆「孔雀図」(落款印章より1793~1799)

(残念ながらシミが多いのですが参考のため)
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by Ru_p | 2012-06-18 00:00 | アート・コレクション | Comments(0)

芦雪の朝顔

朝顔の咲く季節(珍しく先取りで)    

e0259194_23214182.jpg勢い良く伸びた蔓や枝に小鳥を留まらせる画は蘆雪のオハコで、多くの作品が残されています。

種で簡単に殖やせる朝顔は夏の花で、既に平安時代には有った様です。
江戸時代には、朝顔の園芸品種も多く出ていましたが、これは濃色ですが比較的プレーンなタイプのようです。


小鳥も「スズメ科スズメ属のごく普通の雀ですが、蘆雪らしいアニメチックでカワイイ表情に描かれています。

雀を含め鶯や四十雀(シジュウカラ)など小鳥への芦雪の観察眼もすばらしく、分類上の特徴までもよく観ている事にも感心させられます。




















長沢芦雪 筆「朝顔と雀の図」  
08007  絹本30×97
e0259194_8192973.jpg

e0259194_872386.jpg


スズメがなんとも、かわいらしく・・






























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by Ru_p | 2012-06-16 00:09 | アート・コレクション | Comments(0)

遊び心(芦雪)

                 長沢芦雪 筆;蛞蝓(なめくじ)図/賛:月僲  12002
e0259194_857443.jpg

    
何でこんな物を描いたのか?と思いたくなる題材なのですが、通った跡の導線を文字のように扱って画と同化させてしまったところが面白いです。



同一テーマの別バージョンの画が府中市美術館でも公開されていました。
それでもかなり珍しい(面白い)題材だと思います。


月僲の画賛には、
津いん泥の崩れより
かよいたるあとあり五月晴
月僲題

と書いてあるようで、季節は今頃(梅雨時)なのでしょう。













      










            
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by Ru_p | 2012-06-16 00:05 | アート・コレクション | Comments(0)

うちょうらん;遅咲

今朝咲いていたのは、うちょうらん遅咲系原種で名花の「雷鳥」です。
e0259194_12432725.jpg

最近は、交配できれいな花が安く出回っていますが、この「雷鳥」は何度交配に挑戦しても良い花が出来ませんでした。最近は持っている人も少なくなったのではないかと思います。
花数がもっと沢山あるときは咲き分けで白紫点(※白地中央に紫の斑点)も見られるはずなのですが、今年はピンク地のだけで白紫点は無理の様です。



※一般的に「純白花」と「白紫点」は花粉塊が黄色なのですが、この雷鳥(及びサツマチドリの一部)は花粉塊が灰色(遺伝的に優性な普通の花と同じ様な色)です。
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by Ru_p | 2012-06-15 12:48 | 東洋蘭 | Comments(0)

金太郎と母?(芦雪)

   11031
e0259194_189716.jpg「山姥」の伝説には更に古い歴史があるようなのですが、足柄山の「金太郎」伝説と「山姥」伝説とが結びついたと思われる昔話は古典芸能の浄瑠璃や歌舞伎などで江戸時代天明の頃の上方では盛んに取り上げられ上演されていたようです。多分その頃には画の題材として話題性があったのだと思われます。

















長沢芦雪 筆 「山姥と金太郎の図」

e0259194_189535.jpg

美人画に飽きたからなのか、老婆の姿を奇怪で醜く描写することに挑戦して何枚か描いた内の一枚なのでしょうが、何気なく表情豊かに描かれています。
顔に赤味が多く腹巻だけを着けている元気な男が子が「山姥」に甘えるような表情なのですが、母親にしては年齢が高過ぎに見え、それも画の奇怪さに繋がります。

e0259194_18123065.jpg

金太郎(後の坂田公時)が母親の「山姥」に育てられたと言う話に合わせた画なのでしょう。
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by Ru_p | 2012-06-14 19:19 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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