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カテゴリ:アート・コレクション( 120 )

猿曳き (その1)

猿と老人の図  円山応挙筆(「主水筆」 仲選印)  13008  51.7x110.1
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振り返りながら蝶を見上げる猿と猿曳き(猿廻し・猿遣い)老人の図です。おもしろい雰囲気の画で、絵師の人柄の穏やかさも感じられ、観ていて飽きないので気に入りました。
署名が「主水」・印章が「仲選」なので、真筆ならば、円山応挙(1733~1795;1766年以降没年までは応挙に改名)の30歳前後の作品なのでしょうか?(だとしても、今さら生き証人もいないので、誰も客観的証明は出来ません;全ての古い物の宿命です)。
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猿は蝶の動きに惹かれて振り返った瞬間らしく、跳びかかるべきかどうかの判断を下す直前の体にも力が入っていない状態の様に見えます。「あっ 蝶・・・! 」

人や猿の構図は、骨格や筋肉の仕組みをよく理解した人が構成したらしく、細部の描き込みも見事なのですが、蝶に関しては、柄などの描写(※)で幾らか曖昧さ見られます(応挙が「写生帳」等の観察記録を作ったのは30代の後半らしいので、この頃にはまだ博物観察への意識が不十分だったのでしょうか)。

虫を目で追尾させるという設定は、有名なブライスコレクションにも、これと似た構成でブライス氏のお気に入りの『猿と蜂』(森狙仙 筆)の作品があり、NHKの新日曜美術館でも紹介されていました。
その画の作者の森狙仙(1747~1821)は、応挙よりも14年後に生まれ、応挙から多くの影響を受けたそうなので、もしもこの絵が応挙の30歳頃の作品だとすれば、その頃まだ15歳前後だったはずの森狙仙が、これに影響を受けた可能性も十分に考えられ(唐絵からの影響も当然あるのですが)・・・と気持ちだけは江戸時代にタイムスリップしそうです。








※もしもマダラチョウ科だとすると、体に毒を持っているので、猿が本能的に補食をためらう反応をしたのかも知れませんが、この画から蝶を特定するのは難しそうです。


猿曳き老人の手や足の爪を見ると、小爪の色合いがとても健康的。おそらくは、若い応挙が自身の身体を観察して、それをも参考にして描いたからなのでしょう。
図らずも、応挙の自画像の一部となっていた・・? そんな見方も面白いですよね。











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by Ru_p | 2013-06-10 22:34 | アート・コレクション | Comments(0)

獅子の仏画 (道周)

獅子と??  鬼頭道周 筆  07026  42x121
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この取り合わせでの仏画の人物だと、文殊菩薩なのでしょうか?体には臂釧,腕釧などの装飾品を身につけていて衣服はぼろぼろ。、羅漢の様でもあり、、よく解りません。

獅子は、その元はライオンのことですが、日本に伝わってきた当時には、中国でも生息してなかったので、想像上の「伝説の生き物」と捉えられていたのだそうです。「唐獅子」とも呼ばれていたり、神社などの狛犬の角のない方がその古い姿を伝えているそうで、猫科には見えますが、ライオンには見えません。

この画の獅子は、みすぼらしい(羅漢風の)老人に甘える毛玉たらけの動物で、形は猫の様に見えますが、表情はアニメチックで犬の様です。獅子も人も表情が魅力的だと思いますが、「写」とあるので元画がどこかに現存しているのであれば、比べてみたいものです。

一般的な仏像では、文殊菩薩は獅子に乗って、独尊又は釈迦三尊で、年齢も稚児から大人までと幅広いのですが、この様な老齢の姿の例は知りませんので、根拠が気になっています。 

画はおそらく大正~昭和初期だろうと思うのですが、詳しい資料が無いので定かではありません。








※鬼頭道周:明治~昭和初期に活動していた画家ですが、作品は、あまり多く残ってないようです。

参考;文殊菩薩と獅子との珍しい組合せでは、下の造像例があります。
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文殊菩薩持獅立像;木彫一木造り乾漆
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文殊信仰が盛んだった中国四川省の寺から伝わった物だそうです。

















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by Ru_p | 2013-06-09 18:42 | アート・コレクション | Comments(0)

嵐山かな (芦雪)

花の嵐山 長澤芦雪 画/香川景樹 賛歌   13006 25x100

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山の所々に桜の花が咲く静かな嵐山の風景が描かれた、小品ながら叙情的で落ち着いた画です。

「歌界に新風を吹き込んだ」と言われる歌人の香川景樹(直木賞作家の志茂田景樹氏のペンネームの由来とか)による画賛の文から、嵐山は当時も観光名所だったので、シーズンには人々で賑わっていたことがうかがえます。

賛文を、七五調で多少文字の置き換えをすると、下記の様に読めるのでしょう。
残り咲く 花見し人は 散り果てる 夜静かなる 嵐山かな  景樹」

景樹は画賛から、芦雪の画を観て夜の(嵐山の)静けさを感じた、と言いたいのでしょうが、そのことで画が「夜景」だと決めてしまうのは早計の様な気がします。
画の墨色(松煙墨)と、賛の墨色(油煙墨)が全く違うので、景樹は、芦雪がこれを描いた時には同席しておらず、後日(施主から依頼されて?)画賛を入れた可能性が強いと考えられます(景樹がその名に改名したのが芦雪の没年の頃らしいことと、歌人としての名を高めたのが更に後らしいので、この画賛は芦雪の意図よりも、景樹の勝手な解釈で書き加えられた可能性が強いと思われます)。
人影は見えませんが、空も川も白く抜けていますので、芦雪は、まだ空の明るさの残る時間帯の光景を描いたのだと観るのが自然だと思います。薄墨が入らない桜の部分は淡く浮き立っていますが、観る者のイマジネーション次第で、明け方でも夕方にでも見えるのは、画の奥深さなのでしょう。

手前の渡月橋は、江戸時代元禄の頃から今と同じ位置だったのだそうですが、明治初期までは、狭くみすぼらしい、こんな木の橋だったのでしょう。(現在ではコンクリート製で大型車も通れる橋に変わっています)
橋との標高差が三百数十メートルある嵐山は、今と同じ位置なのでしょうが、松や桜は、何世代か前の物で、日本のさくら名所100選として選ばれる200年も前の姿なのでしょう。(現代の姿ともよく似た雰囲気を感じますが)

この画は、嵐山を北東側の少し高い場所から見下ろす様な視点で描かれていますが、この方角に山や丘は無いので、建物から描いたのだと思われます。

※その建物に関してネットで参考となりそうなページを見付けました。
それに依ると、この画の視点と思われる場所(右京区嵯峨天龍寺角倉町9付近)には、豪商だった角倉了以が1606年に邸宅を築き、その建物は江戸時代を通して子孫に維持されて来たのだそうです。2008年には、その遺構の保存品の中から芦雪の襖絵(「飲中八仙歌」の張旭の図)が新たに発見(翌年には京都市が文化財指定)されたのだそうです。(落款から「蘆雪晩年」:寛政後期頃の制作とのことです)


だとすると、芦雪が晩年、そこの襖絵の制作を依頼された時に、この『花の嵐山』も同じ場所で描いた(写生した)と考えるのが自然な推理かとも思われます。
豪商の邸宅で単独の制作活動と言うことは、既に応挙の没後(1796~1799年の春)だったのでしょうか。。

  ついでに、この画も「新発見」ということに・・・??
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by Ru_p | 2013-05-16 20:14 | アート・コレクション | Comments(0)

しゃも? (北斎)

     鶏図 北斎筆(扇面)   10020  48x18

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不敵な風貌?のため、ニワトリと言うよりも幾分シャモ(軍鶏)に近い気がします。
シャモは、江戸時代初期にタイ(シャム)から日本に入ってきたらしいのですが、以来交配による改良と絶種が繰り返されたので、当時のままの姿の鶏を今日探すのは難しいと思われます。

北斎が当時シャモを目にしていたと考えられるのですが、この体型からは『闘鶏』用のシャモではなく、ニワトリと交配された「シャモオトシ」と呼ばれる食肉用の比較的ありふれた鶏ではなかったのかと思われます。
そんな鶏を日頃よく観察して、依頼者の求めに応じて、或る日短時間で扇面に描いたのが、この小品なのだと思います。(「扇面」なので、折れ曲がった面に揮毫するため、大変描き辛かったことでしょう。扇子として実際に使われた物を表装するのが一般的なのだそうで、それに依る折れ皺や汚れは「景色」として楽しむものなのだそうです)

落款は『北斎』となっているので、葛飾北斎がまだ若い(40代~50歳代始め?)頃の作品だと思われます。例により、破綻のない構図と無駄のない筆運びには、さすがに「天才の仕事」と感心させられます。


北斎の描く動物たちは、何故か自画像の彼とも、どことなく雰囲気が似ている様で、独特の愛嬌を感じます。






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by Ru_p | 2013-05-10 06:35 | アート・コレクション | Comments(0)

猫じゃれ美人 (暁斎?)

   08054 33.2x64
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「女三の宮と猫」 と共通する構図ですが、更に一工夫加わっている様にも見えます。

赤い布にじゃれた猫に驚く女性が、少し滑稽に描かれています。

肉筆浮世絵ですが、江戸でなく明治始め頃の作品で、目と手の作る表情には『写楽』の「大谷鬼次の江戸兵衛」とも似た面白さが感じられます。筆がたっていて描線がよく活きています。
どことなく顔に見覚えがある(気がする)べっぴんさんの女性で、色気が感じられます。


不明瞭な印影?があったので、画像処理してみますと、なんと「暁斎」に見えました。
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「最後の浮世絵師」と称された河鍋暁斎の既知の印影と酷似しているのですが、署名は無く、肉眼での判読は難しい状態です。(また、当時の弟子たちが内緒で押した可能性もあるので、厳密な真偽は・・・・?)

無落款だと思って眺めても、けっこう楽しめます。




【参考】
暁斎さんの画集の中に、弟子で次男の河鍋暁雲さんの描いた似た構図の画を見つけましたが、描線も顔もだいぶで違っています。
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by Ru_p | 2013-04-28 17:38 | アート・コレクション | Comments(0)

蘆雪らしさ(雲龍)

13004  45.8x122.6
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大胆な構図・おちゃめな表情・勢いのある描線。


潔く一気に描き上げることで、一瞬のドラマを連想させる効果を出しています。
墨色の違いや滲みの景色をさりげなく活かし、画面からはみ出す主役の要所だけを描くことで、全体の広がりを想像させ、存在感や見応えを演出しています。

蘆雪らしさ(晩年の)がよく出た画ですが、制作時間は僅か(数十分足らず?)だったのではないかと思われます。


江戸時代では45歳を夭逝と言ったかどうか判りませんが、もっと長生きしていたなら・・・・
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by Ru_p | 2013-04-28 13:16 | アート・コレクション | Comments(0)

酒豪たちの詩(芦雪)

①飲中八仙図   12010   58.0x110.0
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『 飲中八仙 』は、中国唐時代に杜甫(とほ)が七言古詩「飲中八仙歌」に詠んだ8人の酒豪たち;賀知章(がちしょう)・汝陽王李(りしん)・李適之(りてきし)・崔宗之(さいそうし)・蘇晋(そしん)・李白(りはく)・張旭(ちょうきょく)・焦遂(しょうすい)のことです(仮名は日本語読みの場合です)。

中国では、日本の七福神の様に、古くから親しまれた存在で、豪快さの表現は当然誇張されているのでしょうが、歌と共に長く親しまれて来たそうです。
芦雪も自らが酒好きであったこともあり、これに関連した画題を好んで(憧れて?)描いていた様です。
そこに出てくる、李白(や布袋など)は単独の画も多く残されているので、特にお気に入りだったようです。

長沢芦雪が描いた「飲中八仙図」では、②バーク・コレクションの作品と ③MIHOミュージアム等の展示会にも出品された画とは互いに構図が酷似していて、既に世間には周知されています。この画①はそれ等とは多少別の構成ですが、仙人毎の構図や筆致には共通した面が多くあります。②③に有った犬の姿は省かれていますが、代わりに?後ろ姿の馬や少し多めの子供たちが加えられ、平和で楽しそうな(芦雪好みの)パーティーの雰囲気が良く出ています。

ところで、大きな違い・・・じつは、この画で芦雪自身が描いたのは、下から四分の三位までで、それより上の部分は、画賛によると「淇淵」(不詳:柳沢淇園のことか?)が山水の遠景を、(戯れで?)描き加えた様です。
明らかにその辺りから筆致が替わって見えますので、その気になれば、腕の良い表具師さんが、二枚別々の画として仕立て直すことすら可能と思われるくらい境目は明瞭です。
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「戯れで」と思わせる理由の一つには、芦雪の落款が「隠し落款」になっていて、よく見ると、画の中の更に別(布袋様)の画の落款部分が「蘆雪」となっていて、『長澤』『魚』の朱文印風の手描き印象があることです。
この様な「隠し落款」の使い方は、この時代に必ずしも例が無い訳ではないのですが、いかにも芦雪が好みそうな『奇想』(サービス精神?)を感じます。おそらくは、仲の良い友人同士で酒を飲み、この話題で盛り上がり、勢いで描かれてしまったからなのではないかと想像します(「応需」でなく?)。それ故なのか手慣れた気儘な表現に見えるので、②③よりも、後で描かれた物かも知れません。
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【参考】
②左: ニューヨーク・バーク・コレクション展よりの「飲中八仙図」
③右: ミホ・ミュージアム 「長澤芦雪 奇は新なり」よりの「飲中八仙図」

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②③の画では、8人目の焦遂?と思われる仙人を囲む集団が、左上遙か後方の丘に陣取って見えますが、①の画では、手前の集団と合流して描かれています。


[飲中八仙歌]
知章騎馬似乗船
眼花落井水底眠
汝陽三斗始朝天
道逢曲車口流涎
恨不移封向酒泉
左相日興費万銭
飲如長鯨吸百川
銜杯楽聖称避賢
宗之瀟洒美少年
挙觴白眼望青天
皎如玉樹臨風前
蘇晋長斎繍仏前
醉中往往愛逃禪
李白一斗詩百篇
長安市上酒家眠
天子呼来不上船
自称臣是酒中仙
張旭三杯草聖伝
脱帽露頂王公前
揮毫落紙如云煙
焦遂五斗方卓然
高談雄弁驚四筵

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by Ru_p | 2013-04-26 12:48 | アート・コレクション | Comments(0)

「鳥獣戯画」 風?

群蛙図 (12枚組マクリ;無落款)   08036    30*26

大変に珍しい題材で、蛙が「鳥獣戯画」風に(擬人化された様に)描かれています。
おそらく江戸時代に、小さな屏風として作られた物(その前は巻物だったのかも知れません)が傷んでしまったので、その後画だけを剥がして保存されていた物だと思われます。周囲が傷んだ「マクリ」の状態で、作者については解りませんが、見事な描画力です。
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蛙もおたまじゃくしも精緻に観察されて描かれた様ですが、表情には、愛嬌があり可愛らしく、絵師の人柄の温かさを感じます。連ねると巾4m位になるので、囲まれれば、自分も蛙になった気分に・・・とても楽しい雰囲気です。
蛙の半生(人と対比させ様と?)のストーリーを描こうとしたのかも知れませんね。
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by Ru_p | 2013-03-03 17:49 | アート・コレクション | Comments(0)

魚籃観音 (の3)

大きな鯉に乗って、サーファーのように水の上を進む姿は、スピード感があり、とても面白い構図です。

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魚濫観世音図 傳 北斎筆   50.8x137.2  07007

本来の「魚籃観音(ぎょらんかんのん)」の「籃(らん)」の字をサンズイの「濫」に置き換えた「題名」ですが、この表示が、北斎漫画の有名な版画と同じなのです。
文字が紛らわしいためか、こんな間違い(又は意図的?)が比較的古く(江戸後期)から有ったという事なのでしょう。

ところで、この観音(観世音・観自在)菩薩は髭の有る男性の顔に描かれています。
「観音菩薩」は本来は男性の設定でしたので、髭は正しい表現なのですが、中国の唐時代以降は女性とする表現が増えたそうです。魚籃観音の由来の話では女性(美女)に化身したはずだったので、ここでも絵師の解釈に間違い(これも意図的?)が有った様です。

仏画なのでか、落款はありませんが「傳 北斎筆」と添え書き(鑑定書)にはありましたので、場合によっては北斎晩年の肉筆画だったのかも知れません。(今さら誰も真筆の立証は出来ないのでしょうが、北斎は敬虔な仏教徒でしたので、当然無落款の仏画を数多く残していました)

下に参考として、北斎漫画での「魚濫観世音」の画像を載せますが、奇抜な構図は確かに似ていると言えそうです。

【参考】 「魚濫観世音図」(『北斎漫画』 十三編の木版画より)
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『ジャポニズム』 の影響で、北斎漫画のこの図柄の鯉の部分を、アールヌーボーの代表的作家のエミール・ガレが模倣し、自身の作品(花器「鯉」1878年)のモチーフとして使っていたことは、とても有名な話です。

【参考】 ( ↓ サントリー美術館のガレ展の画像より転用/比較のため鏡像に左右反転 )e0259194_9254554.jpg














 この画の面白さには、縮れた毛・垂髪・衣・枝などが画面右方向に大きく流れる様に描くことから、体が逆に画面左方向へすばやくターンした瞬間を捉えたと示そうとしている事。それと、顔は正面の高さから見た様なのに、足元や鯉は斜め上方向から見下ろした様に描くなど、視覚的なトリック(見る者の視線が同時には顔と足元を注視ることが出来ないため)を応用して観音菩薩や鯉の存在感を強調しようとしている事など、絵師が視覚効果を意図的に操ろうとした企みが感られる事にあります。また、鯉の上部が水から出ている事を示す描写方法として、水中の体の一部を敢えて描かない(水面と尾の付近)ことで水の存在を表すことなど、多くの工夫を駆使した跡が感じられます。画のテーマにしても、「魚籃観音」とはしましたが、観音菩薩が手にしている枝が柳(楊:少し長過ぎ?※)だとすれば、「楊柳観音」として描いた可能性も十分に考えられ、髭の存在も納得できます。このように深い謎を秘めたことでも、魅力的な(見る人の心理でも見え方の変わる)画なのだと思われます。

(※葉が長すぎるので、もしも、菖蒲の葉だとすれば、鬼除け・魔除けの意味があると言われる「魚籃観音」なのでしょう。更に、鯉と菖蒲とで端午の節句との関連も生じそう;北斎なら、鍾馗の画も多く残しましたので・・・ )





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上の魚濫観音の画に付いていた軸先ですが『卍』が彫られています。
「卍」は、絵師の落款としてはとても洒落た記号だと思いますが、右卍か左卍に関わらず、ほとんどのヨーロッパ諸国では法律によって使用が禁止されているそうです。特にドイツでは「ナチス」との因縁が深く、公の場で使用すると逮捕されるのだそうです。

・・・・・なんとも不運な北斎の画


    



















              
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by Ru_p | 2013-02-14 21:24 | アート・コレクション | Comments(0)

魚籃観音 (の2)

07014
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魚籃観音は、本来はこの画の様に、魚の籃(かご)を持つ美女に変化したとされる観世音菩薩の姿を表した仏画なのです。

この画には、多くの仏画と同様に落款はありませんが、見事な筆遣いの描線や使われている高価な岩絵の具などから、江戸初~中期の名のある絵師の仕事と思われます。
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下膨れの顔や、切れ長で吊り上った一重の目など独特の雰囲気は、時代的には「白隠」の観音図にも影響を与えたのではないか?とすら想像されます。

魚籃観音の説明はここでも
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by Ru_p | 2013-02-12 13:41 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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