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お釈迦さまの・・・?

清凉寺式釈迦如来立像図  紙本肉筆(紺紙金泥/無落款) 10.8×25.4cm (15006)
e0259194_23535100.jpg


A4サイズに収まる本紙をスキャン(上)して、編集ソフトで鮮明に処理(下)してみました。
(顔などの皮膚には金泥が塗られていますが、色調の厳密な再現は難かしく・・)
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 「清凉寺式釈迦如来像」は、
お釈迦さまの生存中にその姿を、古代インドの優填(うでん)王が栴檀(せんだん)の材にて造らせた(①)と言われる伝説の像が、後に中国に運ばれ、更にその模刻(②)が、東大寺の学僧 奝然(ちょうねん)によって、西暦986年に中国から日本にまで運ばれ(現在は清凉寺に安置されているほぼ等身大の立像)それを基に、その模刻(③)が更に各地に伝え広められたと言われる壮大な由緒をもつ釈迦如来像の事なのです。
(お釈迦さまの姿のコピーのコピー・・・の像で、改めての仏教の基本情報が伝来)

上記①のコピーは、実際に存命中に行われたのでしょうか?/その像は全く現存していないのでしょうか?

お釈迦さまは、紀元前5世紀ごろの北インドの人で、悟りを得て「仏陀」と呼ばれる様になった仏教の開祖です。その弟子達への教えでは、修行によって悟りを得る事を目標とし「偶像崇拝」はさせなかったらしい(本来の仏陀の教えは、「信仰」と言うよりも「哲学」の性格が強かった為)のですが、歿後に時が経つにつれ、教えの解釈も変わり、救いを求める人々はお釈迦さまの姿を模した像や遺骨に何らかの霊的な力を期待する様に変わって行った様です。ですから、仏像としての釈迦像が造られたのは、実際にはその没後5世紀以上経ってからと言う説が一般的で、優填王の伝説の像がお釈迦さまの存命中に作られたと言う伝説は、残念ながら今日では必ずしも有力な説ではない様です。

清凉寺に置かれている(上記②の)釈迦像は、「三国伝来の釈迦像」として尊ばれ、お釈迦さまの没後15世紀近く経っていた平安期には、仏教(当時の大乗仏教)を原点から見直す釈迦信仰を大いに盛り上げ、鎌倉期頃までは盛んに模刻が行われた様です。(模刻の行為も仏陀のクールな教えには反しそうなのですが・・)

清凉寺の釈迦如来像には、インド、ガンダーラ風の特徴(縄目状の頭髪や、通肩〔つうけん:両肩を衣に通す姿〕の衣に深く刻まれた流水線状の衣文等)が有るそうです。その仏像の伝搬のルートが「北伝」と呼ばれて中央アジアを辿ったことから、日本に仏教が初めて伝えられた頃に伝搬されて来たと考えられている東南アジア経由のルート(南伝)の様式とは学術的には区別されているのだそうです。
(清凉寺の釈迦如来像は、歴史資料としても重要な為、現在国宝に指定されています)

鎌倉期頃までの作で現存する清凉寺式釈迦如来は殆どが木彫で、意外なことにこの様な仏画での遺例は稀らしく、金蓮寺(京都)・西大寺(奈良)・根津美術館(東京)で所蔵されている他には、確認されていなかったのだそうです。
(大乗仏教の阿弥陀信仰が盛り返えしたとしても、清凉寺式釈迦像の模刻は鎌倉期でも盛んに行われていたはずなので、探せばまだまだ出てきそうな気もしますが)


上の画は、清凉寺の釈迦如来像(又はその模刻)を高度な技術の絵師が、小さな画寸の中に極限まで細密に縮小して写し取った物(上記③に相当する像高約14cmの6頭身像)の様です。高価な料紙や絵の具を含めて、極めて完成度が高い事から、おそらくは高貴な人物の念持仏(個人が身近に置いて礼拝する為の仏像)として特に丁寧に作られた物だと思われます。
(掛け軸状態ではなく、薄板に張って折りたたまれた形の表具なので、絵の具の剥落は少ないのですが、本紙は脆化が進み、割れや剥がれ落ちた部分が見られます。顔などには金泥による少し雑な修復跡があり、それ以外の本紙部分を見ると、特に細かい亀裂があるので、年代測定はしていませんが時代的な古さには期待が持てそうです。ただ、細かいので今後の修復には苦労しそう・・)

この顔の表情には、慈悲深さや落ち着きのある「和」の雰囲気も感じらるので、見ていて気持ちが癒やされます。
(今日と違い、誰もが気軽には目に出来なかった時代の遺物かと思うと、何だか更にありがた・・・ )
























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by Ru_p | 2015-05-05 23:53 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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