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ひょうたんなまず

瓢鮎図(ひょうねんず) 無落款 36.5×28.8 13023
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"瓢鮎図は瓢箪で鯰(ナマズ)を捕らえると言う禅の公案(修行の為の難題)をテーマにした画です(中国から伝わって来た「」の字は「ねん」と読み、《あゆ》ではなく《なまず》の意味なのだそうで、という字が日本で作られた「国字」なので、ここでは元の字の「」が使われるのだそうで、とても複雑)。


上の画とは別に、今から600年以上前の室町時代に将軍の足利義持が画僧の如拙(じょせつ)に命じて描かせたと言われる作品が最も有名で、そちらは国宝にも指定されていて、かつては京都の妙心寺塔頭(たっちゅう)の退蔵院に在りましたが、その後京都国立博物館に寄託された物で、美術の教科書にもしばしば登場するほど美術史的に大変希少な資料としての意味を持つ作品なのです。
下が参考のための、その如拙筆の瓢鮎図(75.8×111.5)
上半分の画賛の文が、当時の著名な禅僧30人による、この公案への回答に相当し、制作当時は障壁画で、下半分の図の背面に在ったのだそうです;この画賛によって、制作年代や作者を含む制作背景が明らかになるから、歴史的資料としての価値が大きい らしいのですが・・・・

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辞書による「瓢箪鯰」という言葉の意味では、《「瓢箪で鯰を押さえる」から》とらえどころのないようす。要領を得ないようす。また、そのような人。という説明を見かけました。
当然、瓢箪で鯰を捕らえさせる事など実際には不可能な難題と思われていたのでしょう。どうやってこの後鯰を捕らえようとするのか判りませんが、上の方の画の場合には、下の国宝の模写とも違い、あり得ないと思える程大きな瓢箪と鯰との組み合わせで、運ぶ人物も鯰も共に愛らしく、楽しそうに描かれていて、好きな画です。

室町時代に、如拙、周文、雪舟らの有名な画僧が幕府の庇護を受けて活躍していた後に、狩野正信が御用絵師としての座に着き、以後約400年にわたって活動し続けた狩野派の存在を考えると、この画題を扱わなかったはずがないので、上の画はそんな狩野派の誰かが残した可能性があるとも考えられますが、厳密にはいつ頃の誰の画なのかは判りません。

鯰には長い髭があるせいか、英語圏では“CATFISH”とも呼ばれ、どことなく愛嬌を感じさせるキャラクターなのですが、何か神秘的な能力を持っていそうな雰囲気も感じられます。
江戸時代中期になると、この様な瓢鮎図とは別にも鯰を描いた『鯰絵』が、地震や疫病など、人の力ではどうしようもない災難に対する民間信仰でのお守りとしての意味を持つようになり、浮世絵や大津絵での版画の出版物も含めて多数が世に出回る様になったそうです。





※鯰捕りの方法として、「コロンブスの卵」を参考に発想転換してみますと、ウナギ漁に使う筒の代わりに、瓢箪の底を割って穴を開けて水に沈め、鯰が入るのを待って引き揚げる、と言う単純な方法が思い浮かびましたが、もしもそんな方法で解決してしまったなら、600年の歴史有る難問だったはずの禅の公案がとても軽かったということにも・・・
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by Ru_p | 2014-01-03 01:34 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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