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梅と鶴と・・  (文晁)

林逋(林和靖)の図  「 谷 文晁 筆」 11022
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林逋(りんぽ 967-1028)は、中国、北宋の文人で、病弱のために妻をめとらず、西湖の孤山に盧を作り、自ら植えた梅を妻と呼び、大切に育てた鶴を子と呼び、この両者を特に愛して隠遁生活を送った孤高の詩人だったそうです。その詩は主に、西湖辺りの自然の美しさを詠んだものらしいのですが、ご本人は書くと直ぐに捨ててしまったらしく、多くは残されていないのだそうです。画も書も得意で、学問にも世情にも精通していたので、時の皇帝からも尊敬され「和靖」の諡を賜っていたのですが、生涯出仕はしなかったそうです。

林逋の姿は、中国では画題として古くから多く描かれていたため、江戸時代の日本が中国ブームであったこともあり、それらが日本へ渡り、絵師達が競って模写したようです。上の画も梅や鶴を愛する林逋の優しそうな人柄が良く出ています。(後ろで鶴の餌を抱えている童子は、林逋の世話をした弟子でしょうか?)
中国では、文人・高士は「梅、蘭、竹、菊」等に象徴され、それ等を好むとされていたそうです。

梅と鶴いうのは個性的なので印象に残ります。(私なら猫と蘭ですが・・・世の全員が文人になったら困るのでしょうね)



江戸時代の多くの絵師群団で、この様な画の基となる唐画(中国から伝わった画)や、その模写を大切に貯えておき、その中から一部を更に写して「粉本(お手本)」として弟子等に与えたり譲ったりしていたのでしょう。ですから、世の中に全く同じ構図の作品が多数存在していたとしても不思議な事ではありません。
善意の作者によって描かれた作品であればその見分け方は、落款や筆致などで識別可能なのですが、人の識別能力にも限界があるので、意図的に作風も似せられた贋作等の場合には、誤った認定が美術史すら歪ませて来た可能性も否定は出来ないと思います。
谷文晁(たに ぶんちょう;1763年~1841年)は多彩な画法を使い分けていたので、画に必ずしも一貫した個性が見付けにくいとよく言われています。文晁も(他の主要な絵師群団の場合も)工房の門人等に自らの落款の使用を認めることがあったそうですので、『文晁』は絵師の名であると同時に、工房のブランド名の意味もあった様です。

古い画では多くの場合、真筆であっても客観的な(主観的でない)証明など出来ません(偽筆等の場合には判断可能な場合も多々有ります)。観る者を納得させられる魅力を供えていたり、時代の雰囲気を十分に伝え残す作品には相応の評価が与えられて当然の様ですが、殆どの場合それ等の根拠は鑑定者等の経験に基づく確信という主観なので、他の者が冷静に検証を試みたくても、必ずしも叶わないのが残念な事実です。

とは言っても、感動を与えてくれる古画が世の中に多数存在する事は確かな事です。時空を越えて活き続ける作者の感性と共鳴する様に、遙かな浪漫の世界に浸れる時間を楽しめるのですから。












【参考】
「文晁筆」とされ、上の画とほぼ同一構図の作品(福島県立博物館所蔵)e0259194_645410.jpg

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by Ru_p | 2012-03-21 12:25 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


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