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梅と鶴と・・  (文晁)

林逋(林和靖)の図  「 谷 文晁 筆」 11022
梅と鶴と・・  (文晁)_e0259194_8132880.jpg

梅と鶴と・・  (文晁)_e0259194_648477.jpg
林逋(りんぽ 967-1028)は、中国、北宋の文人で、病弱のために妻をめとらず、西湖の孤山に盧を作り、自ら植えた梅を妻と呼び、大切に育てた鶴を子と呼び、この両者を特に愛して隠遁生活を送った孤高の詩人だったそうです。その詩は主に、西湖辺りの自然の美しさを詠んだものらしいのですが、ご本人は書くと直ぐに捨ててしまったらしく、多くは残されていないのだそうです。画も書も得意で、学問にも世情にも精通していたので、時の皇帝からも尊敬され「和靖」の諡を賜っていたのですが、生涯出仕はしなかったそうです。

林逋の姿は、中国では画題として古くから多く描かれていたため、江戸時代の日本が中国ブームであったこともあり、それらが日本へ渡り、絵師達が競って模写したようです。上の画も梅や鶴を愛する林逋の優しそうな人柄が良く出ています。(後ろで鶴の餌を抱えている童子は、林逋の世話をした弟子でしょうか?)
中国では、文人・高士は「梅、蘭、竹、菊」等に象徴され、それ等を好むとされていたそうです。

梅と鶴いうのは個性的なので印象に残ります。(私なら猫と蘭ですが・・・世の人全員が文人になってしまっても困りそうです)











江戸時代の多くの絵師群団で、この様な画の基となる唐画(中国から伝わった画)や、その模写を大切に貯えておき、その中から一部を更に写して「粉本(お手本)」として弟子等に与えたり譲ったりしていたのでしょう。

谷文晁(たに ぶんちょう;1763年~1841年)は多彩な画法を使い分けていたので、画に必ずしも一貫した個性が見付けにくいとよく言われています。文晁も(他の主要な絵師群団の場合も)工房の門人等に自らの落款の使用を認めることがあったそうですので、『文晁』は絵師の名であると同時に、時には工房のブランド名の意味もあったそうです。






【参考①】
「文晁筆」とされ、上の画とほぼ同一構図の作品(福島県立博物館所蔵)
梅と鶴と・・  (文晁)_e0259194_645410.jpg










【参考②】
林逋(林和靖)の図 「 長沢芦雪 筆」 絹本 35.3*97.5 16019_R01
梅と鶴と・・  (文晁)_e0259194_16293268.jpg
落款署名の書体からは、芦雪の、寛政年間の作画ではないのかと考えられます。




















by Ru_p | 2012-03-21 12:25 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の気まぐれ記(ジユウビョウドウ)


by Ru_p

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