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夏の風物詩 (鳥居清峰)

蚊遣り美人図  二代目 鳥居清満(=初代 鳥居清峰) 筆 肉筆浮世絵  31.5x78 07032
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蚊遣り(かやり)部分
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蚊の出る時季にはお馴染みのブタ型の蚊遣りですが、これが19世紀初頭(1810年頃)の江戸(吉原)では既に使われていた、と言えそうです。

除虫菊を加工した『蚊取り線香』は、明治中期以降に『金鳥』の創始者に依って考案されたのだそうですので、まだこの頃には、松の葉などをこの中で焚いて、蚊が嫌う煙を出す為の器だった様です。

蚊遣りブタのルーツに関してweb上で検索してみますと、「推定年代 19世紀前葉~中葉」として発掘された蚊遣りブタが見付かりましたが、その形は、口が小さくて、全体に大振りで、「徳利を加工した様な形」でした。ところが、上の肉筆浮世絵を見ると、口が大きくて、現代の「蚊遣りブタ」にかなり近い形です。その時代の江戸吉原の遊郭では、既にこの形が使われていたことが判ります。(果たして、この画は「蚊遣りブタ」の歴史資料として、最も古い物となるのでしょうか?)

今日使われている渦巻き状蚊取り線香(※)の様に、長時間の安定した燃焼を期待出来なかったでしょうから、寝る前には、蚊が忌避する煙を、体や衣類に焚き込んでおく必要があったのでしょう。
「蚊取り」でなく「蚊遣り」と言われていたのも、まだ、除虫菊の無かった時代の煙では殺虫効果が弱かったからかも知れません。
豚の体を連想する形になっていたのは、寝具に火が移ることを避ける為の機能性と、陶器職人の遊び心とがもたらした必然の結果だったのではないかと推測されますが、真実はどうだったのでしょうか。

上の画の落款にある「鳥居清峯」ですが、画風などから初代鳥居清峰〈1787~1869年 :二代目鳥居清満が後に改名)と思われます。
参考: ボストン美術館のwebページ中に、酷似の画像を見付けました。そちらは木版画なのですが、図中に「青楼四季之詠 岡本屋内 稲岡」とあり、1810年の制作とのことです。人物や衣服の線や構図には共通する部分が多く、上の肉筆画と同一の絵師が同一の時期に(同一のモデルを?)描いたとも判断出来そうな作品です。画の遊女部分の大きさは上の肉筆画の方が二倍程度と大きいのですが、背景のモチーフ(蚊帳など)での季節設定も同じ夏です。


湯上がりの透ける単衣の着物に団扇とはお洒落ですし、7頭身以上の長身は、当時の標準的体型の女性よりも当然誇張された美女なのでしょう。

いったいどんな経緯でこの画が描かれたのでしょうか? 夢ででも、当時の吉原にタイムスリップしてみたい
          

 



                                                                                                                                                                                                           ※蚊取線香は、まだまだ使われてはいますが、マット式~ノーマット式~プッシュ式(それぞれに含まれる「ピレスロイド系」の有効成分を空気中に蒸散させるタイプ)へと進化したため、次第に消えてしまう運命なのかも知れません。 
あれに郷愁を感じる世代としては、少し寂しい気持ちも・・・・                                                               



                                                                                              
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by Ru_p | 2013-06-17 00:10 | アート・コレクション | Comments(0)


妄想猫の起末具連記


by Ru_p

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