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謎の句(与謝蕪村)

今ひとつ俳句としての意味が掴みにくいと言われる、
「時雨るゝや蓑買ふ人のまことより」
という蕪村の作った謎の句があるそうです。
(原文未確認ですが、意味不詳として有名)

    09025
謎の句(与謝蕪村)_e0259194_14195589.jpg右の画には蕪村の落款があり、それに似た句が書かれています。

旧仮名の読み方はおそらく、
「者つしく連 蓑かふ人の 真よ李」
で、現代の平仮名に置き換えると、
「はつしぐれ 蓑かう人の まことより」
となり、上記の謎の句とよく似ていることに気付きます。

絶えず自作の句には見直しや修正を検討し続けていたでしょうから、こんな形で別バージョンの句を残したのかも知れません。

この句は自作俳画への自賛なので(俳人としての落款の「蕪村」とあるので)、当然画と句はリンクしているはずです。ですから、画からも句の意味が読み取れて当然と思われます。

更に漢字を加えた現代語訳に直した場合に、
「初時雨 蓑かう人の真(まこと)より」
だとすれば、強く降る秋の冷たい雨や疾風を、必死に蓑と笠を交って(又は、手で支ってか?)絶え凌ぎながら働き続ける人の姿と一致してくれそうです。

蕪村が崇拝していた芭蕉の「貴さや 雪降らぬ日も 蓑と笠」や「ふらずとも 竹植うる日は 蓑と笠 」という句の影響を受けたと考えられますが、恐らくこの画の登場人物ならば、蓑や笠をったりはせずに、自分等で作った事と思われます。


『初時雨』は、今日では冬の季語なのだそうですが、蕪村の崇拝していた芭蕉が、有名な「初しぐれ猿も小蓑をほしげ也」の句で、9月(旧暦)なのに使っていた様ですので、当然参考にはしていた事でしょう。




「時雨(しぐれ)」は、秋から冬に掛けて、一時的に強く降ったり止んだりする通り雨ですが、「初(はつ)」の字が頭に付くので、その年初めて降った「時雨」なのでしょう。
蕪村の時代の旧暦(太陰暦)では、1年の始まりが春でしたので、それは、晩秋から初冬の寒い季節だった事でしょう。














謎の句(与謝蕪村)_e0259194_72960.jpg

下敷きの畳の目の凹凸を利用して、本紙を斜めに置き、渇筆で一気に描いた雨の表現や、牛の頭と足の動きもよく観察されていて(牛は、左右の前足を出す度に頭を上下に振る様な動きをします;頭を振る反動を利用して足を持ち上げているから)、技術的にも情緒的にも優れた好きな画です。 

これでも蕪村は画が自己流だったとは・・・・
















             
by Ru_p | 2012-04-24 18:37 | アート・コレクション | Comments(0)


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by Ru_p

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